クマに襲われたか 80代女性死亡 青森市 酸ヶ湯温泉の近く

25日午前、青森市の八甲田山系の酸ヶ湯温泉の近くでクマに人が襲われたという通報があり、警察などが猟友会ともに救助活動を行ったところ、80代の女性1人が意識のない状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。
青森県内でことし、クマに襲われて死亡した初めてのケースだということです。

消防などによりますと、25日午前9時前に青森市の八甲田山系の酸ヶ湯温泉の近くでクマに人が襲われたという通報がありました。

青森市によりますと、クマに襲われたのはタケノコ狩りで入山していたむつ市の80代の女性だということです。

一緒に山に入っていた男性の警察への説明では、クマのうなり声を聞いて女性の方に駆けつけたところ、クマと倒れている女性を見つけたということです。

女性は男性の呼びかけに応じなかったということで、男性は通報したあと、自力で山を下りたということです。

警察や消防はその後、地元の猟友会とともに地獄沼付近の山林に入って救助活動を行ったところ、午後1時すぎに女性が意識のない状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認されました。

今回の事態を受けて、警察は登山者などにこの付近への入山を取りやめるよう呼びかけています。

青森市によりますと、八甲田山系では今月21日に石倉岳登山口近くの山林でタケノコ採りをしていた女性がクマに襲われ、太ももをひっかかれて大けがをしたほか、今月22日にはこの現場から1キロほど北の硫黄岳付近で遭遇したクマから逃げた女性のおにぎりが物色された形跡が確認されたということです。

この女性はクマを警戒してサイレンを鳴らしていたにもかかわらず被害にあったということで、市は、酸ヶ湯温泉付近ではタケノコ採りなどで山林に入らないよう呼びかけていました。

県によりますと、県内でクマに人が襲われて死亡するケースはことし初めてです。

猟友会のメンバーは「正午ごろに入山し、現場についたのが午後1時くらいだった。倒れている方のそばに体長およそ1メートルのクマ1頭がいた。花火を上げたり、銃を20発ほど空に向かって撃った。それでもクマは逃げず、我々の姿を見てから10分くらいたって逃げた」と話していました。

別の猟友会のメンバーは「あれだけ銃を撃っても逃げなかったのだから鈴は意味がないのかもしれない。今の季節に山になるべく入らないほうがいい」と話していました。

クマの生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹動物生態遺伝チーム長は、今月21日と22日、そして25日と八甲田山系の近いエリアで相次いで人がクマに襲われていることなどから、同じクマによる被害の可能性が高いとしたうえで「人間が持ってる食べ物は奪い取ることができるということを学習し、クマが人間を襲う可能性は十分ある。今回のクマは明らかに人を襲うことを目的として襲っているのだと思う」と指摘していました。

そのうえで「山菜採りや登山などアウトドアでの活動でそのエリアに行くのは当面は絶対に控えてほしい」と呼びかけていました。

一方、「今回のような事案が発生すると、鈴などで人の存在をアピールするとクマが来てしまうのではという声も出てくるが、そうしたクマは本州全域で数万頭のうち数頭というレベルだ。基本的なクマ対策としては鈴などをつけることが重要だ」として、今回の現場付近以外での山での活動に際しては、引き続き鈴やラジオなどを使って音を出し、人の存在をクマに気づかせることが重要だと話していました。