米軍三沢基地隣接ため池 青森県と三沢市が水質調査へ

三沢市にあるアメリカ軍三沢基地に隣接するため池で有害性が指摘されている種類の有機フッ素化合物が国の暫定の目標値を大幅に上回る値で検出されたと市民団体が指摘したことを受け、県と市は、今月22日にもこのため池などで水質を調べる調査を行うことになりました。

今回調査が行われるため池は、アメリカ軍三沢基地の東側にあり「五川目堤」と呼ばれていて、東京にある市民団体「食の安全・監視市民委員会」がことし1月に行った調査で、有害性が指摘されている種類の有機フッ素化合物「PFAS」が国の暫定の目標値の15倍の濃度で検出されたと指摘していました。

県と三沢市は市民団体から指摘を受けてこのため池と三沢沖の太平洋で水質を調べる調査を今月22日にも行うことを決めました。

防衛省によりますと現時点では市民団体の調査結果との関係はわからないものの、国の暫定の目標値を大幅に上回る値が検出されたため池とつながる三沢基地内の池には、アメリカ軍が以前の訓練で消火剤を使った際に出た有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS」を含む水を浄化した後でためていたことがわかっています。

三沢市の担当者は「調査結果次第では今後、県と協議の上継続的な調査の対象にするか検討しなければならない」とコメントしています。

多くの種類のある有機フッ素化合物「PFAS」は国内では現在3種類が有害とされ国はこのうち、「PFOS」と「PFOA」の2つの物質について令和元年度から、都道府県などと連携して全国の河川や地下水などで水質調査を行っています。

この2つの物質についてWHO=世界保健機関のがん研究機関は去年11月には発がん性があるなどと評価していますが、国はこれまで、科学的な知見が十分ではなく、健康への明確な影響は不明としてきましたが、今年度から大学などに委託して健康への影響を詳しく調べています。

また、水質の目標値については、現在、暫定的なものですが、正式な目標値の設定に向けた検討がすすめられています。

環境省などによりますとこの2つの物質は、かつては泡消火剤や半導体の製造のほか、フライパンのコーティングなど幅広い用途に使われてきましたが令和3年までに製造や輸入が禁止されたということです。

三沢市ではおととし1月、アメリカ軍三沢基地から有害性が指摘されている「PFAS」を含んだ水が基地の外へ流れだし、市や県などが定期的に水質を調べてきました。

これまで10回行われた調査では基地に隣接するかつて農業用に使われていた排水路の1地点で国の暫定の目標値を超える物質の検出が依然、続いていますが、三沢市内の水道水への影響はないということです。