八甲田山系周辺の大規模風力発電事業 事業者が計画撤回を発表

八甲田山系周辺で計画していた大規模な風力発電事業について、事業者の東京の会社は地元の反発などを踏まえて計画を取りやめると発表しました。

再生可能エネルギー事業を手がける東京の「ユーラスエナジーホールディングス」は、八甲田山系周辺の山の尾根などに最大で71基の風車を設置する発電事業を計画していましたが、10日、計画を取りやめると発表しました。

この計画をめぐっては、ことし8月、風車の設置などの対象地域となっていた青森市や十和田市など6つの市と町が撤回を求める意見書を提出していました。

また、県も宮下知事が計画の撤回を求めるとともに、風車などの再生可能エネルギー関連施設の建設を禁止するエリアを定める「ゾーニング条例」を制定する方針を示すなど、地元の反発が強まっていました。

「ユーラスエナジーホールディングス」はNHKの取材に対して、「さらなる計画の見直しを行ったとしても地元の理解を得るのは難しい状況であるほか、事業化の可否を判断するまでに時間がかかり事業の経済性を見通すのが難しいことから取りやめを判断した」としています。

【宮下知事は・・】
八甲田山系での風力発電の計画の取りやめが発表されたことについて宮下知事は「事業の白紙撤回は選挙公約の1つだったので早期に実現してよかった。一方で、今回の事業がわれわれに投げかけた自然と再生可能エネルギーの共生という課題は非常に大きい。今後は、青森の価値ある自然を後世につなぎながら再生可能エネルギーを推進していけるよう取り組んでいく」とするコメントを出しました。

【青森市の西市長は・・】
八甲田山系での風力発電の計画の取りやめが発表されたことについて青森市の西市長は記者団の取材に応じ、「最も心配していた景観や水源への影響を止めることができたのは大変大きな成果だ。関係する市町と共同で意見書を提出したり、宮下知事にも動いてもらったりした一連の行動の結果であり非常にうれしく思う」と述べました。