「大間まぐろ」漁獲量の一部を県に未報告 社長2人に有罪判決

「大間まぐろ」のブランドで知られるクロマグロの漁獲量の一部を県に報告しなかったとして漁業法違反の罪に問われた青森県大間町の仲卸業者の社長2人に対し、青森地方裁判所はいずれも懲役4か月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

いずれも大間町の仲卸業者の社長、新田忠明被告(47)と佐々木一美被告(62)はおととし7月から9月にかけてのクロマグロの漁獲量について、漁業者と共謀し新田被告が40トンあまりを佐々木被告が30トンあまりをそれぞれ県に報告しなかったとして漁業法違反の罪に問われました。

これまでの裁判で、2人は起訴された内容を認めていて検察側はいずれも懲役4か月を求刑していました。

13日青森地方裁判所で開かれた裁判で藏本匡成裁判長は「クロマグロは絶滅が危惧され世界的に漁獲の管理が行われていて、今回の犯行が及ぼした影響を軽視することはできない」と指摘しました。

その上で「多額の利益を得ていたことなどを考慮すると刑事責任は軽視できない」などとして2人に対し懲役4か月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

この事件をめぐっては2人と共謀していたとして漁業者22人と法人1社が漁業法違反の罪で罰金20万円から10万円の略式命令を受けています。

判決を受けて県水産局の山中崇裕局長はNHKの取材に対し「非常に残念な事態だ。漁獲の報告は漁業法で定められた義務でありしっかりと行ってもらう必要がある。未報告がないよう指導をさらに徹底していく」と述べました。

事件を受けて県は流通したマグロが適切に報告されたものかどうか県や漁協に照会できる制度を独自に整備するなど再発防止に向けた対策を進めています。

判決について大間漁協の小鷹勝敏組合長は「謙虚に受け止め、今後このようなことがないようにしてほしい。ほかの漁業者たちも今回の件が国際問題になっていると認識し反省しているので2度と同じようなことを起こさないと信じたい」と話していました。