秋田県内の書店 入荷は発売日から一日遅れに

トラック運転手の労働環境の改善のため、今月から始まった時間外労働の規制強化の影響で、秋田県内の書店では、今後、ほとんどの本が発売日から一日遅れでの入荷となることが分かりました。

秋田県内の書店でつくる県書店商業組合などによりますと、首都圏から県内の書店への書籍や雑誌の配送は、すべて埼玉県の運送会社が担っています。

トラック運転手の時間外労働の上限や勤務間インターバルなどの規制強化に対応するため、組合の連合会と出版物の取り次ぎ会社や運送会社などとの間で協議が行われ、秋田県と岩手県の書店への文庫本や文芸書など書籍の配送は、今月1日から一日遅れで行うことが決まったということです。

運送会社によりますと、これにより、仕分けと配送の日を分けるなど労働時間に配慮した運行が可能になるということです。

秋田県内の書店では、すでにコミックや週刊誌などの雑誌類は首都圏の発売日より一日遅れで配送されていて、今月から文庫本や文芸書などの書籍も配送が遅れることで、ほとんどの本が一日遅れで店頭に並ぶことになるということです。

秋田県書店商業組合は「新刊の発売日が首都圏より遅れることでお客様には迷惑をかけるが、トラック運転手の働き方改革のためなので理解を求めていきたい」と話しています。

文庫本などの入荷が今月から一日遅れとなった秋田市内の書店では、首都圏と比べて情報が遅れることへの不安や読者が電子書籍に流れることを懸念する声が聞かれました。

JR秋田駅前の商業施設に入る大型書店では、これまで文庫本や文芸書は発売日にあわせて入荷していましたが、今月から一日遅れになっているということです。

このため、人気作家の東野圭吾さんの最新の文庫本は3日が発売日でしたが、店には一日遅れて4日朝配送され、4日からの発売となりました。

この店では、3日の発売日にあわせて来店したものの、商品を買えずに帰った客が3人いたということです。

文庫本を買った10代の男性は「2024年問題を耳にしたこともありますし、トラック運転手の働き方を見直すという理由で一日くらい遅れるのは問題ありません」と話していました。

また30代の女性は「物流業界で働く人も大変だと思いますが、秋田では首都圏より情報が遅れることになるので、いろんな手段を考えて差をなくしてほしいです」と話していました。

「ジュンク堂書店秋田店」の今野圭一副店長は「発売日に買いに来たお客さんに販売できないのは非常に心が痛いです。紙の本から離れて電子書籍に流れてしまうという懸念もあるが、物流あっての書店なので、しかたないと思う」と話していました。

秋田県書店商業組合や県内の大型書店などによりますと、県内ではこれまでもコミックや週刊誌などの雑誌類はほとんどが首都圏の発売日より一日遅れて配送されてきましたが、「週刊少年ジャンプ」のほか、人気漫画の「呪術廻戦」、「ONE PIECE」、「名探偵コナン」などごく一部の作品は、出版社や運送会社などとの調整により、発売日に入荷があるということです。

このため、今月から一日遅れとなった文庫本や文芸書などの書籍も、一部の売れ筋の新刊などは出版社によっては発売日に間に合うように入荷できる可能性もあるとしています。