「地価公示」 住宅地で25年ぶり 商業地で32年ぶりに上昇

ことし1月時点の土地の価格の動向を示す「地価公示」が発表され、秋田県全体の平均変動率は住宅地で25年ぶり、商業地で32年ぶりに上昇に転じました。
いずれも当面は回復基調が続く見通しですが、人口減少の傾向に変化はなく、需要の先細りが懸念されています。

「地価公示」は、国土交通省が1月1日時点で調査した土地の価格を公表するもので、県内では193地点が対象となりました。

このうち、住宅地では県全体の平均で1平方メートルあたり2万2000円でした。

変動率はプラス0.2%で去年より0.3ポイント増加し、平成11年以来、25年ぶりに上昇に転じました。

また、秋田市は3年連続の上昇で、ことしは中心部に近い泉や八橋、保戸野のほか、飯島や仁井田などの郊外でも価格が上昇するなど価格上昇のエリアが拡大しました。

また、男鹿市の船越地区では25年ぶりの上昇となり、大型の商業施設の出店が影響したとみられます。

県内の住宅地で最も高かったのは「秋田市保戸野中町」で、1平方メートルあたり7万5800円でした。

また、商業地は県全体の平均で1平方メートルあたり3万6600円でした。

変動率はプラス0.4%で去年より0.6ポイント増加し、平成4年以来、32年ぶりに上昇に転じました。

あきた芸術劇場ミルハスの影響などで秋田市中心部が活性化しているほか、ホテルやマンションの建設が続いていることから上昇したとみられます。

また、由利本荘市や横手市、それに大仙市でも変動率が上昇に転じました。

県内の商業地で最も高かったのは、「秋田市中通2丁目」のフォンテAKITAが立地する場所で、1平方メートルあたり18万2000円でした。

一方、去年7月の記録的大雨の影響で、住宅地では南通で、商業地では広面といった浸水被害が深刻だった一部の地区で上昇せずに横ばいとなりました。

調査にあたった不動産鑑定士の平野太郎さんは「県内経済の緩やかな回復や低金利の継続などを背景に、秋田市全体で地価を押し上げたほか、下落した地区でもその幅が縮小したことが上昇に転じた理由と考えられ、住宅地と商業地のいずれも当面、回復基調が続くとみている」としています。

一方で、「人口減少の傾向に変化はなく、住宅地では需要の先細りが懸念されるほか、ネット通販の普及などで商業地では客足が鈍っていて、今後の見通しは厳しい一面もある」としています。