爆発事故の能代ロケット試験棟 修理は困難 解体し当面更地に

ことし7月に爆発事故が起きたJAXA=宇宙航空研究開発機構の能代ロケット実験場をめぐり、JAXAは事故が起きた試験棟の修理は難しいとして、解体し、当面、更地にすることを決めました。

能代市にあるJAXAの能代ロケット実験場では、ことし7月、固体燃料式の小型ロケット、「イプシロンS」のエンジン部分の燃焼試験で爆発事故が起き、JAXAは原因の分析を進めています。

事故から4か月余りたった28日、爆発事故の現場にNHKのテレビカメラが初めて入りました。

実験が行われた「真空燃焼試験棟」は、安全のため壁や屋根が取り除かれた骨組みだけの状態になっていて、ロケットを設置していた50トン以上あるドーム型の容器は、爆発の衝撃で2メートルほどずれて傾いていました。

また、ロケットの推進力を測るための装置や、データを測定する設備が入る施設も黒く焼け焦げていて、当時の爆発の痕跡が生々しく残っています。

このため、JAXAは、試験棟の損傷が激しく修理は不可能だとして、建物を解体して当面、更地にすることを決めました。

試験棟を建て直すどうかは検討するとしていますが、再建には少なくとも2年以上かかる見通しで、固体燃料の燃焼試験は当面、できなくなるということです。

JAXAの能代ロケット実験場の小林弘明所長は、事故について「国内ではここにしかない実験設備だったので残念だ。固体ロケット以外の実験はできるので、当面はそれを秋田県の活性化につなげていきたい」と話していました。