“きりたんぽ鍋に欠かせず” せりの収穫量 暑さの影響で減少

この夏の記録的な暑さの影響で、秋田県湯沢市では秋田の代表的な郷土料理、きりたんぽ鍋に欠かせないせりの収穫量が減少し、農家が頭を悩ませています。

秋田県湯沢市の三関地区では豊富なわき水を利用したせりの栽培が盛んで、「三関せり」の名前で知られています。

地区ではおよそ40軒の農家がせりの栽培に取り組んでいて、このうち、千葉伸也さんの畑では、今月上旬からせりの収穫が始まっています。

三関せりは葉や茎だけでなく、白く伸びた長い根も食べられるのが特徴ですが、湯沢市ではことし8月に30度以上となった日が30日観測されるなど記録的な暑さとなりました。

この暑さで8月下旬にまいたせりの種の発芽が悪かったり、見た目が悪く規格外として販売できなくなったりするなど千葉さんの畑では収穫量が例年より3割ほど少ないということです。

また、湯沢市などを管轄するJAこまちによりますと、今月中旬ごろまでの、せりの生産量は例年の半分以下になっているということです。

秋田市ではきりたんぽを販売する店で、せりが足りず、鍋の数を限定するなど影響も出ているということです。

千葉さんは「暑さで販売できないものも出て収穫が伸びなかったので、今後の回復に期待したい」と話していました。

JAこまちの佐野広光営農指導員は「せりはもともと暑さに弱いのでこの夏の暑さは厳しかった。今後回復する見込みなので秋田のおいしいせりを楽しんでもらいたい」と話していました。

また、せりの収穫量が落ちていることを受けて、せりの価格も上昇しています。

秋田市のスーパーでは先週まで、せりがほとんど手に入らず店頭に並ばなかったということです。

今週に入って、店頭に並ぶようになりましたが仕入れの量がまだ少なくこのままだと販売価格が通常の2倍となってしまうため店では量を通常の半分にして、例年と同じ価格で販売しているということです。

買い物に来た70代の女性は、「きりたんぽ鍋を作ろうと思って手に取りましたが、高いし量も少ないので今回は諦めました」と話していました。

スーパーでセリなどの野菜を担当する栗田裕弥さんは、「価格が倍くらいになってしまったので量を半分にして求めやすい価格にしています。ほかの野菜も価格が上がり厳しい状況です」と話していました。

JAやスーパーによりますと、これから始まるハウス栽培に移れば、生産量は徐々に回復し、価格も落ち着く見込みだということです。