北秋田市でクマに襲われ 高校生含む5人けが 1人は重傷

19日午前、秋田県北秋田市の市街地で、高校1年生を含む5人が相次いでクマに襲われ、このうち1人は腕や腰を骨折する大けがをしました。
現場の近くには小学校もあり、警察が注意を呼びかけるとともに警戒を続けています。

警察によりますと19日朝7時ごろ、北秋田市鷹巣で、16歳の高校1年生の女子生徒と80代の女性3人が相次いでクマに襲われてけがをしました。

このうち83歳の女性は顔をひっかかれて出血が多く、腕や腰を骨折する大けがだということです。

また、女子生徒は登校するためバス停でバスを待っていたときに左腕をかまれたということです。

いずれも意識があり、会話はできる状態だということです。

さらに午前11時すぎには、この近くで60代の男性も顔や右の脇腹をひっかかれてけがをしましたが、命に別状はないということです。

この影響で、▽現場近くにある鷹巣小学校は休校になり、▽秋田北鷹高校は下校時に生徒たちを最寄り駅までバスで送迎するなどの対応をとったということです。

県と警察は「ことしは特に、『いつでも・どこでも・誰でも』クマに遭遇するリスクがある」として、▽やぶなどの見通しの悪い場所には近づかず、▽集落にクマを寄せつけないよう、屋外に生ゴミを捨てたり放置したりしないよう呼びかけています。

JA秋田たかのすによりますと、19日午前、クマによる人の被害が相次いだ北秋田市内にある店で、職員用の通用口の扉のガラスが割られていたということです。
クマによるものとみられています。

19日7時45分ごろ、北秋田市大町にある本店に出勤した職員が通用口の鍵を開けようとしたところ、1枚のガラス扉の下の部分が割られていることに気づいたということです。

北秋田市の市街地でクマによる被害が相次いだことを受けて近くをパトロールしていた警察官に職員が被害を知らせ、通用口の鍵はかかったままだったことから、クマによるものとみられています。

また、警察官が本店の中を確認したところ、クマはおらず、けが人もいなかったということです。

一方、客が利用する出入り口は別の場所にあるため、通常どおり営業していますが、店を訪れた客にはクマに気をつけるよう声をかけているということです。

JA秋田たかのすは「本店がある街なかでクマが出るとは思ってもおらず驚いているし、恐ろしいと感じる。まだクマが捕まっていないのでしばらくは気をつけていきたい」としています。

クマの生態に詳しい県自然保護課の近藤麻実主任は、19日、北秋田市で相次いだクマによる人身被害について、「市街地に入ってしまうと、どこに逃げても人がいる状況になるので、被害が重なりやすい」と話しています。

近藤主任によりますと、クマが市街地に多く出没する背景として山の中の少ない食べ物を大きなクマが独り占めし、そこからはじき出されたクマが食べ物を探しているうちに思いがけず、市街地まで入ってしまっている可能性があるということです。

今回のように、市街地でクマに遭遇した場合、▽離れたところにいればすぐに建物や車の中に避難し、警察や市町村に通報する、▽避難できる場所や時間がない場合は、電柱や塀の影などに隠れてクマと自分の間に物を挟む、▽隠れる場所もない場合は、首の後ろに両手を組んでうずくまり、地面に伏せる防御姿勢をとって顔や頭のけがを防いでほしいとしています。

これから迎える冬場にもクマが市街地に出没するかどうかについて、近藤主任は「クマはエサがあると冬眠せず、エサがないと早めに冬眠する傾向にあるが、眠れないほど空腹の場合は冬眠しないおそれもある。今後はクリの実が終わり、柿へと移ったときに冬眠するのか、それとも柿の実に気づいて冬眠しないかが、ターニングポイントになると思う」と話していました。