大雨で浸水被害 住民のために営業続けるパン販売店

県内を襲った7月の記録的な大雨では、住民のほか、地域の生活を支える飲食店や事業所などにも大きな被害が出ました。
そうしたなか、店舗が浸水する被害を受けながらも、住民のために営業を続けている店もあります。

秋田市中心部で3年前に開業したパンの販売店では毎日、店内で50種類から60種類ほどのパンを焼き上げ、できたての商品を地域の人に届けています。

この店では7月の記録的な大雨で床上浸水などの被害を受け、店内に保管していた小麦粉などの食材をすべて捨てることになったほか、パンを作る機具や棚などの備品の多くも清掃することになりました。

被災直後は店の休業も余儀なくされましたが、周辺の店が次々と休業し、食品を買い求められる場所が地域から急速になくなっていく様子を見て被害を受けた2日後には営業を再開したといいます。

一方で売り上げは、大雨のあと一部の住民が別の場所に避難したほか、夏の記録的な暑さで伸び悩み、厳しい状況が続いているほかパンを焼く従業員などの人手不足にも悩んでいます。

このため、先月からはクラウドファンディングで新商品の開発や求人のための費用を募るなどして、経営を何とか維持しているということです。

県のまとめによりますと、このパンの販売店のように浸水被害にあっている店は多く、秋田市では市内の284の事業所で浸水や車が水につかるなどの被害が出たほか、五城目町でも105の事業所が被災し、事業の継続をどう支えるかが大きな課題となっています。

パン作りの職人で店を経営する鎌田健史さん(41)は「東日本大震災の時に被災地の店が次々と休業して、地域の人たちが食べ物を買う場所に困っていたのを思い出し、早く再開させなければいけないと思いました。大雨の被害、記録的な暑さ、それに原材料価格の高騰など、店にとって厳しい状況が続いていますが、これからも何とか頑張っていきたい」と話していました。