水没した車内で男性死亡 専門家が現場で状況を調査 五城目町

記録的な大雨で、水につかった車内で男性が亡くなっているのが見つかった秋田県五城目町で大雨の災害に詳しい専門家が車が流された状況などを調査しました。
今回の記録的な大雨で秋田県では広い範囲で住宅などが浸水し、秋田市の中心部では水につかって動かせなくなった車が路上に多く残されたほか、五城目町では、川の近くの農地で水につかっていた車内から男性1人が死亡しているのが見つかるなど各地で大きな被害が出ました。
このうち、男性が亡くなっているのが見つかった現場では、大雨災害に詳しい静岡大学の牛山素行教授が現地で調査を行いました。
警察によりますと、男性は車で帰宅途中に川からあふれた水で流されたとみられるということで、牛山教授は現場周辺の浸水の深さや土地の高低差などを確認していました。
今回の調査では、男性の車が通っていたとみられる道路に最大で1メートル20センチほど浸水した痕跡が見つかったということです。
また、車が見つかった農地は通っていた道路よりも低く、牛山教授は車が道路に流れ込んだ大量の水によっておよそ150メートル離れた低い場所にある農地まで一気に流された可能性が高いとしています。
牛山教授は、車で移動中に大雨が降ると川沿いだけでなく都市部でも高低差がある場所では同じような被害にあうおそれがあると指摘した上で、牛山教授は、「車に乗ったまま流されてしまうと助かる可能性が低い。特に交通量が多い都市部では身動きがとれないまま流されるおそれがあり、少しでも浸水したら車を手放して高い場所に逃げてほしい」と話していました。
大雨などの水害で車が流されるなどして乗っていた人が死亡するケースが全国であとを絶たず、大雨災害に詳しい専門家は、「大雨の際、道路などが浸水し始めたら車内にいてもすぐに安全な場所に逃げてほしい」と話しています。
大雨災害の調査を続けている静岡大学の牛山素行教授が2019年までの20年間に大雨などの水害で亡くなった全国の1373人について状況や原因などを調べた結果、屋外で亡くなった人は半数近くの665人で、このうち車内で亡くなった人は201人と30%にのぼっています。
車内で亡くなった人についてさらに詳しくみてみると川からあふれた水に流されたとみられるのが102人で最も多く、次いで、増水した川の近くを移動している時に転落するなどした人が56人、土砂に巻き込まれた人が29人などとなっています。
牛山教授は、「数十センチの深さでも流れが速ければ車が動かせなくなったり流されたりしてしまう。車の中は決して安全ではないので、大雨の際は浸水した場所に近づかず、道路などが浸水し始めたらすぐに安全な場所に逃げてほしい」と話しています。