震災で家族4人亡くした秋田市出身の男性が中学生に体験伝える

東日本大震災で妻や娘など家族4人を亡くした男性が、秋田市の中学校で講演を行い、地震が発生したらまずは自分の身を守り、最悪の事態を考えて行動してほしいことなどを訴えました。

秋田市の山王中学校で講演を行ったのは、秋田市出身で、12年前の東日本大震災の時、宮城県名取市閖上地区に住んでいた佐々木清和さん(56)です。

講演で、佐々木さんは震災の津波で自宅が流され、妻と妻の両親、そして当時中学2年生だった娘の家族4人を失ったことを話しました。

娘の遺体と対面したのは震災から1週間以上たってからだとした上で、「連絡が取れないだけで、どこかで生きているのではないかという期待が一瞬で崩れた」と当時の気持ちを述べました。

そして、娘が着ていた中学校の運動着などを見せながら「地震が発生したらまずは自分の身を守り、最悪の事態を考えて行動してほしい」と訴えました。

また、今生きていることに感謝し、1日1日を大切に生きてほしいと伝えました。

3年生の男子生徒は「当時幼くて震災の記憶はないので、とても勉強になった。ほかの人の話を聞くなどして自分が伝承していきたい」と話していました。

佐々木さんは「秋田で話すことができてありがたく思っている。12年が経過し、知らない世代も増えて、伝えることの難しさを感じているが、引き続き、語り続けていきたい」と話していました。