こがない乗り物 シェア実証実験開始 高齢化進む堺市・泉北で

住民の高齢化が進む大阪・堺市のニュータウンで、電気で動くバイク型の乗り物の実証実験が16日から始まりました。

16日は堺市・南区の泉北ニュータウン内にある広場に関係者や地元の人たちが集まり、実証実験で用いる電気で動くバイク型の乗り物の試乗会が行われました。
この乗り物はサドルがついた特定小型原動機付自転車で、ハンドルのスロットルを回すと走行できるのが特徴です。
利用できるのは16歳以上で、運転免許は必要ありませんが、スマートフォンに専用のアプリを入れる必要があります。
ヘルメットの着用は法律で「努力義務」となっていて、事故が起きた場合は保険の適用があるということです。
高度経済成長期に整備された泉北ニュータウンは、▼65歳以上の高齢化率が37%を超えているほか、▼路線バスの便数も減少していて、起伏が大きいまちの移動の利便性をどう高めるかが課題となっています。
この地域ではおととし(2022年)から電動アシスト付き自転車のシェアサイクルが始まっていますが、高齢者の利用が進んでいないことから、市とこの事業を展開する会社は、より手軽に利用できる今回の乗り物の実証実験を来年度(2025年度)末まで行うことにしたということです。
堺市泉北ニューデザイン推進室の久保徳章さんは「自転車に近い操作感覚なので免許を返納された高齢の方にも利用しやすい乗り物だと考えています。アプリの使い方などを丁寧に説明していきたい」と話していました。

【泉北ニュータウンの“移動”の試行錯誤】
堺市は泉北ニュータウンで住民の減少や高齢化が急速に進んでいることを受け、3年前(2021年)に持続可能で新たな移住者も呼び込めるまちを目指して「SENBOKU New Design」と題した指針を策定し、“移動の利便性”を高められないか、試行錯誤を続けています。
市はこれまでニュータウン内で▼電動カートや▼電動キックボードのシェアサービスの実証実験を行ってきましたが、▼電動カートは利用後のカートを再配置する人件費がかさんだほか、▼電動キックボードはシステム担当の企業が経営難で事業から撤退し、どちらも本格運用には至りませんでした。
▼自転車のシェアサービスは続いていますが、高齢者の利用率は低く、今回の電気で動くバイク型の乗り物の利用がどこまで進むか注目されます。
市はこのほか、利用者の予約に基づいて運行する▼「オンデマンドバス」の実証実験にも2回取り組んでいて、3回目の実験に向けた検討も進んでいます。