被差別部落の記事削除求め サイト運営者を提訴 大阪地裁

被差別部落の情報をまとめたウェブサイトに地名や住宅などの写真を掲載され「差別されない権利」を侵害されたとして、部落解放同盟大阪府連合会などがサイトの運営者に記事の削除と損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、部落解放同盟大阪府連合会と大阪府に住む70代の男性です。
訴えによりますと、川崎市にある出版社は、運営するウェブサイトで被差別部落であることを特定して地名を明示し、住居や風景などの写真を掲載しているほか、動画サイトでも映像を公開しています。
大阪府内では原告の男性が住む地域など36か所を掲載していて、部落解放同盟などは、「差別されない権利」を侵害されたと主張して記事の削除や1100万円の損害賠償などを求める訴えを8日、大阪地方裁判所に起こしました。
提訴のあと部落解放同盟大阪府連合会の赤井隆史 委員長は、「平穏な生活が危険にさらされるおそれがあるので、すべての記事を消してほしい」と話していました。
原告の男性は、自宅が写り込んだ写真などをサイトに掲載されたとして削除を求める仮処分を申し立て、ことし(令和6年)5月、大阪地方裁判所は「差別を助長するものだ」として削除を命じる決定を出しています。

【出版社代表“書くのは自由”】
訴えについて、ウェブサイトを運営する出版社の代表は「訴状を見ていないので相手方の主張が分からないところがある」としたうえで、「大阪を訪問して見て聞いたことを書くのは自由だと思っている。今後も記事を書きたいと思っている」とコメントしています。