安倍元首相銃撃事件から2年 現場に献花台 裁判は来年以降か

安倍元総理大臣が奈良市で演説中に銃撃された事件から8日で2年となります。
殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の裁判は証拠や争点などを絞り込む手続きが進められていますが、日程は決まっておらず、弁護団は初公判は来年以降になるという見方を示しています。

おととしの7月8日、奈良市の大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説をしていた安倍元総理大臣が銃撃されて死亡した事件では、無職の山上徹也被告(43)が殺人や銃刀法違反などの罪で起訴されています。
事件の現場は現在、花壇や人工芝の広場になっていて、付近には7日から自民党の奈良県連が用意した献花台が設置され、多くの花が手向けられています。
捜査関係者によりますと、山上被告は捜査段階の調べに対し、母親が多額の献金をしていた「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こしたなどと供述していたということです。
この事件は裁判員裁判で審理されるとみられ、奈良地方裁判所で証拠や争点などを絞り込む「公判前整理手続き」がこれまで4回にわたって行われました。
関係者によりますと、証拠の整理はほぼ終わり、現在は争点の絞り込みなどが行われていて、裁判所と検察、弁護士の三者が被告が所持していた手製の銃が法律が定める「拳銃等」にあたるかどうかなどについてやりとりを続けているということです。
今後の手続きや裁判の日程は決まっておらず、弁護団は初公判は来年以降になるという見方を示しています。

【現場の献花台では】
事件の現場となった奈良市の大和西大寺駅前には、7日から自民党の奈良県連が用意した献花台が設けられています。
きのうは多くの人が訪れ、花を手向けた後、安倍元総理大臣の遺影に手を合わせていました。
東京から来たという男子大学生は「悲しい事件だったので、花を供えたいと思って来ました。人を殺すのは何があったとしてもよくない行為だと思います」と話していました。
また、奈良市の60代の男性は「裁判が始まっていないので、何も分からないままです。多くの人が事件の経緯などを早く知りたいと思っているのではないか」と話していました。
献花台は去年も7月8日に設けられましたが、訪れた1人が拳銃に似た棒を振り上げる騒ぎがあったため、ことしは周囲に鉄製の柵が設置され、手荷物検査も行われています。
献花は8日午後5時まで受け付けているということです。

【山上被告の近況と発言】
山上被告は去年、▽殺人と▽手製の銃を所持するなどした銃刀法違反、それに▽国の許可を受けずに武器を製造した武器等製造法違反などの罪で起訴され、現在、大阪拘置所に勾留されています。
被告の弁護団によりますと、ふだんは読書などをして過ごし、一般の人などから寄せられた手紙にはすべて目を通しているということですが、接見は弁護士と一部の親族以外は拒否しているということです。
奈良地方裁判所ではこれまで、証拠や争点などを絞り込む「公判前整理手続き」が4回にわたって行われ、被告も1回目を除いてすべて参加しました。
みずから発言することはないものの、裁判所と検察、弁護士の間のやりとりを真剣な様子で聞いているということです。
関係者によりますと、このうち7月3日に行われた4回目の手続きでは、被告が所持していた手製の銃が法律が定める「拳銃等」にあたるかどうかなどについて議論が交わされました。
被告は手続きの後、弁護士に「興味深いと感じた」などと話していたということです。
また、事件の報道や、旧統一教会をめぐる解散命令請求などの一連の動きについても新聞などで把握しているといいます。
6月20日に弁護士が接見した際には「事件によって現在のような状況になるとは思っていなかった」と話したほか、親が信者であるいわゆる「宗教2世」について「事件が2世の人たちにとってよかったか悪かったか分からない」とも話していたということです。