滋賀 米原市伊吹で土砂崩れ 周辺に「緊急安全確保」

1日午前、滋賀県米原市で山の斜面が崩れて住宅に土砂が流れこみました。
けがをした人はいませんでしたが、米原市は災害対策本部を設置し、周辺の127世帯、313人に「緊急安全確保」を出しました。

警察によりますと、1日午前10時ごろ米原市伊吹で県道近くにある山の斜面が崩れ、住宅1棟に土砂が流れこみました。
けがをした人はいませんでした。
これを受けて米原市は災害対策本部を設置し、局地的な大雨の影響でさらに土砂災害が発生するおそれがあることから、午前11時に米原市伊吹自治会の127世帯、313人に「緊急安全確保」を出しました。
警戒レベルが最も高いレベル5で、近くの建物や自宅の2階以上、斜面から離れた場所など周囲の状況を確認し、少しでも安全な場所で命が助かる可能性の高い行動を取るよう呼びかけています。
近くにある「伊吹生活改善センター」に一時避難所が開設され、正午すぎの時点で24人が避難したということです。
さらに、今後の雨に備えてより安全な広域避難所の「伊吹小学校」へ移ることになり、避難した人たちは午後2時ごろ、市の車に乗ってふたたび移動しました。

【現場周辺は土砂災害警戒区域に指定】
土砂崩れが発生した滋賀県米原市伊吹の現場から南に400メートルほど離れた場所には、滋賀県が設置した雨量計がありました。
それによりますと、▽1日午前10時までの1時間には34ミリの激しい雨が降っていて、▽30日の降り始めからの雨量は64ミリでした。
国土交通省がインターネットで公開している「重ねるハザードマップ」では、この現場周辺は土石流などの危険性があるとして、「土砂災害警戒区域」に指定されています。

【被災した自宅の住人が撮影した映像は】
米原市伊吹の土砂崩れで被害を受けた住宅について、この家に住む人がスマートフォンで撮影しました。
1日午前10時半ごろの映像では、自宅の周辺に裏山から大量の土砂と水が流れ込んでいるのが確認できます。
さらに、住宅の内部には茶色く濁った水が流れ続けていて、リビングにたまった泥水が外に流れ出ていました。
撮影したのは米原市の職員、石河輝男さん(52)で、市役所に出勤した後、父親から連絡を受け、急いで帰宅したということです。
石河さんは「午前9時40分ごろ、父親から『ものすごい勢いで土砂が来ている』と連絡がありました。慌てて帰ると、山から流れ込んできた土砂が家のトイレの窓を突き破って入ってきていました。50年近くこの地域に住んでいますが、家が潰れてしまうほどのこんな被害は初めてです。このあとも自宅に住み続けられるのかが非常に不安です」と話していました。
両親はいずれも避難して無事で、母親の石河千代子(77)さんは「朝、家にいたら、ヘリコプターが飛んでいるようなものすごい音がして、家の縁側から見たら水が川みたいになって大きな木とともに流れてきました。家の中にも水が入ってきてベッドも流されたし、台所も水浸しです。こちらに嫁いでからこんなことは初めてなので、とても怖かったです」と話していました。
父親の石河茂さん(81)は「午前9時半ごろ妻と2人で自宅の1階にいたら、ごおーという聞いたことのないような音がして、土砂が家の中に入り込んできたので2人であわてて逃げ出した。まさかこんなことが起きるとは思わなかった。家の中がどこまで被害を受けているかはわからない」と話していました。

【一時避難所の様子は】
1日正午すぎ、一時避難所になった「伊吹生活改善センター」には住民およそ30人が避難していて、座って休んだり、住民どうしで不安そうに話をしたりしていました。
医療関係者がけががないか尋ねたり、健康状態を聞き取ったりする様子も見られました。