「ノーランドセル登校」小学校で熱中症対策本格化 大阪 枚方

6月になって学校現場では、熱中症対策が本格化しています。
大阪・枚方市の小学校では、霧状の水を吹きつける装置が付いたテントを3日、運動場に設置したほか、体の負担を減らすため「ノーランドセル登校」という独自の対策を進めています。

大阪・枚方市の市立第二小学校では、ランドセルを背負わずに登校してもいい「ノーランドセル登校」という取り組みをしています。
登下校の際の体の負担を減らすため4年前(2020年)から始め、今では年間を通じて行っていますが、特にこの時期から通気性の良いリュックサックや手提げかばんでの登校を呼びかけています。
また、教科書などをたくさん入れたランドセルを背負って通学するのは負担が大きいため、自宅で使わない教科書やノートは教室に置いておくよう指導しています。
リュックサックで登校した6年生の男子児童は「ランドセルのほうが少し重く、リュックサックだと背中との間に隙間ができて風が通って気持ちいいです」と話していました。
さらに、暑さに備えて子どもたちが休息するためのテントを3日、運動場に設置しました。
テントには頭上から霧状の水を吹きつける「ミスト装置」が設置されていて、子どもたちは授業の合間に集まって涼んでいました。
この小学校では、運動場に通じる通路と体育館の入り口に、それぞれ気温と湿度、それに「暑さ指数」を表示する計測器を設置しています。
教員が授業の前に値を確認し、▽気温が35度以上の場合や▽暑さ指数が31以上の場合は、外での運動をやめ、屋内での授業に切り替えたり、図書室で読書をしたりするなどの対応を取っているということです。
このほか、枚方市では、すべての小学校にウォーターサーバーを貸し出しています。
この小学校では職員室に設置していて、水筒が空になった児童が水を補給するために利用しています。
枚方市立第二小学校の坂本雅人 校長は、「夏に向けて暑さが厳しくなるので、子どもたちの負担を減らすため『ノーランドセル登校』を始めました。体育や休み時間などいろいろな場面で熱中症の危険があるので、暑さ対策を取りながら子どもたちの活動を注意深く見守ります」と話していました。

【専門家“変化に気づいて”】
熱中症対策に詳しい大阪国際大学の井上芳光名誉教授によりますと、子どもは大人と比べて汗をかく機能が十分に発達していないうえ、体が小さく体温が上がりやすいため熱中症にかかりやすいということです。
このため、日頃から暑さに慣れる条件をつくることや子どもの体調の変化にいち早く気づいてほしいとしています。
井上名誉教授は、熱中症を予防するためには早めの休息と水分補給が必要だとしていて、「顔が真っ赤になって大量の汗をかいていたら体温が高くなっているので、早めに休むことやのどの渇きに応じて水を飲めるような状況を作ってほしい。子どもが今の状態を先生などに申告できるような雰囲気作りも大切だ」と指摘しています。
そのうえで、ランドセルを背負わずに登校してもいい「ノーランドセル登校」の取り組みについては「重たい物を担ぐことは体への負担度が上がり、余分な熱を作ることになる。それとともに背中からの汗が蒸発しにくくなるので、ランドセルを担がなくて済むなら体温の上がり方は小さくなり熱中症をより防げると思う」と話していました。