カメムシことしも大量発生 平年の10倍以上のところも 大阪

大阪府内では、桃や梨などの果物に被害を及ぼすカメムシが、多いところで平年の10倍以上に増えていて、府は府内全域に注意報を出して対策をとるよう呼びかけています。

大阪府は大阪・羽曳野市や岸和田市など府内3か所にカメムシを捕まえるための装置を設置し、定期的に数を調査しています。
24日はこのうち羽曳野市にある調査ポイントを府から委託を受けた府立環境農林水産総合研究所の職員が訪れ、装置の中にいた55匹のカメムシを一匹一匹ピンセットでつまみ、種類ごとに数を確認していました。
今月(5月)上旬の調査では、果物に被害を及ぼす「チャバネアオカメムシ」が▼羽曳野市では平年のおよそ5.8倍にあたる35匹、▼岸和田市では平年のおよそ14倍にあたる13匹が確認されるなど、平年を大きく上回る状況となっています。
研究所などによりますと、大量発生の理由として▼「暖冬」だったため冬を越えて生き延びる成虫が多かったことや▼えさとなるスギやヒノキの実が多かったことなどが考えられるということです。
大阪府は府内全域に病害虫の発生に関する注意報を出して、農家に対し薬剤の散布などの対策をとるよう呼びかけています。
府立環境農林水産総合研究所の安松谷恵子 主任研究員は、「これから夏にかけてスギやヒノキの実が膨らんでくるので、カメムシはその実を求めて果樹園から山に移るが、実が減ると再び果樹園に戻ってくると考えられる。そのため、秋以降も果樹園では対策が必要になるとみられる」と話していました。
カメムシの発生は全国的に増えていて、関西では2府4県すべてで注意報が発表されています。

【カメムシ大量発生で桃農家悲鳴 収穫量3割減も】
大阪府の桃の産地、岸和田市では、果樹園にカメムシが大量に発生し、収穫を控えた桃に被害が広がっています。
糖度の高い桃の産地として知られる岸和田市包近町では、50軒ほどの農家が桃を生産しています。
松本隆弘さんは50アールの果樹園で5種類の桃を育てていて、このうち肥料などを工夫して育てた「まさひめ」という品種は糖度22.2度と、一般的な桃の2倍以上になり、2015年にギネス世界記録に認定されました。
一部の品種は収穫を間近に控えていますが、果樹園では先月(4月)からカメムシが発生し、桃の実の汁を吸われへこんで黒ずんだり、軟らかくなって腐ったりする被害が出ているということです。
収穫した桃の出荷は来月(6月)から始まる予定ですが、ことし収穫できる量は去年より3割ほど減る見通しだということです。
松本さんは「薬などで対策はとっていますがカメムシの数が多すぎて効果が出ていません。被害を受けた桃は捨てるしかなく打撃は大きいです。できる対策をしっかりやって、なんとか消費者に、おいしい桃を届けたいと思います」と話していました。

【部屋に入ってきたら… 対策のポイントは】
昆虫の専門家によると、住宅街などにいるカメムシは今の時期は減る傾向にあるということですが、自宅のベランダや部屋の中に入ってきてしまった場合、どう対処したらいいか、害虫の対策を行う大阪府の担当者に聞きました。
生活圏に入り込む害虫への対策を担当する大阪府環境衛生課によりますと、カメムシを自宅に入れないためには、カメムシが活動的になる夜間の対策が重要だといいます。
カメムシは光に集まる習性があるため、▼室内の光を漏らさないようカーテンをしっかり閉めたり、▼夜間に洗濯物を干さないようにしたりすることが大切で、特にカメムシが好むとされる白っぽい色の洗濯物は注意が必要だといいます。
また、市販されているカメムシが嫌うにおいの薬剤をベランダなどにまいたりするのも有効です。
また、部屋のなかに入ってしまった場合は、くさいにおいを出されないよう刺激を与えないことが大切で、ペットボトルを輪切りにしたものや、丸めた紙などを使って捕まえ、部屋の外に放す方法が有効だといいます。
大阪府環境衛生課の谷口直生 主査は、「農家だけでなく、一般の家庭からもカメムシに関する相談が少しずつ増えてきています。府内でよく見られるチャバネアオカメムシは人を刺すことはないので、まずは刺激を与えないことが大事です」と話していました。