びわ湖のアユに塩分耐性“海水で生存可能”東大など研究チーム

湖と川を回遊して淡水で成長するびわ湖のアユは、条件によっては海水でも生きられることが東京大学などの研究チームの調査で分かりました。
全国の川で放流されているびわ湖のアユの生存の可能性を高める新たな知見としています。

東京大学などでつくる研究チームによりますと、一般的なアユは川で生まれたあと海に下り、再び川に戻って成長するのに対して、びわ湖のアユは10万年ほど前から独自の進化を遂げ、湖と川の間を回遊して成長するとされています。
びわ湖のアユは全国の川で放流されていますが、その卵からふ化した稚魚は、海に下ったあと、川に戻ってこないことから、びわ湖のアユはこれまで、塩分耐性がなく、海で死んでしまうなどと考えられていました。
研究チームが、びわ湖のアユと一般的なアユ、それぞれを淡水から海水の水槽に段階的に移す実験を行った結果、びわ湖のアユにも塩分耐性があることが分かりました。
また、卵の段階から海水での生活に欠かせない細胞があることも確認できたということです。
ただ、実験では、びわ湖のアユは高い水温に弱いことも分かり、研究チームは、全国で放流されたびわ湖のアユの卵からふ化した稚魚が、海に下ったあと川に戻ってこないのは、塩分耐性ではなく、海水温が高い時期に産卵時期を迎え、海に下っていることが原因ではないかと分析しています。
調査を行った東京大学農学部の井ノ口繭助教は「びわ湖のアユも海水で生きられることが分かった。ただ、水温が上がると死ぬ確率が上がるので、海水温がより低い時期に産卵させられれば、全国の河川でも生き残る可能性がある」と話していました。