生活保護費引き下げ訴訟 2審も受給者の訴え退ける 大阪高裁

生活保護費が段階的に引き下げられたのは最低限度の生活を保障した憲法に違反するなどとして、兵庫県に住む受給者が引き下げの取り消しを求めた裁判で、大阪高等裁判所は、1審に続いて受給者の訴えを退けました。

国は、生活保護費の支給額を当時の物価の下落などを反映する形で、2013年から2015年にかけて最大で10%引き下げました。
兵庫県の受給者らは、「最低限度の生活を保障した憲法に違反する」などとして、神戸市などが行った引き下げの取り消しを求める訴えを起こし、3年前(令和3年)、1審の神戸地方裁判所は、「検証結果に基づき引き下げの判断を行っていて不合理なものとはいえない」などとして訴えを退け、受給者側が控訴していました。
26日の2審の判決で大阪高等裁判所の森崎英二 裁判長は、「厚生労働大臣の引き下げの判断は不合理とはいえず、裁量権の逸脱や乱用は認められない」などとして、1審に続いて受給者の訴えを退けました。
弁護団によりますと、全国で30件起こされている同様の集団訴訟で、2審の判決は4件目で、原告の訴えが退けられたのは今回が3件目です。

【原告“物価高で生活苦しい” 上告の方針】
判決のあと、原告の1人の田原幹雄さんは、「1日1000円程度で生活をしていますが、物価高も続いていて、生活がさらに苦しいです。食事は朝と夜の2食しか食べられません」などと話していました。
また、弁護団長を務める藤原精吾弁護士は「きょうの判決は、1審より後退した内容で到底納得できない」などと述べ、上告する方針を明らかにしました。
一方、神戸市は、「今後とも生活保護業務を適切に遂行できるよう努めてまいります」とコメントしています。