東大寺 創建当初の東塔は国内最大級の高さ68メートルか

奈良の東大寺にかつて存在していた東塔について、奈良文化財研究所は、奈良時代の創建当初の塔は、高さがおよそ70メートルだったとする研究成果をまとめました。

東大寺の東塔は、西側の塔、西塔とともに奈良時代の創建当初、大仏殿の脇に東西一対で建てられていた七重塔で、平安時代の焼き打ち後、鎌倉時代に再建されましたが、その後、落雷で再び焼失しました。
創建当初の高さについてはさまざまな説があり、奈良文化財研究所は寺の依頼を受けて、平成30年から▼寺などに保管されている文献を詳細に調べたり、▼塔の土台の基壇の規模などの情報をもとに構造を解析したりする研究を進めてきました。
その結果、東塔は「相輪」と呼ばれる最上部の金属製の装飾も含めて高さがおよそ68メートルで、現存する木造の塔で最も高い京都にある東寺の五重塔を13メートル上回る国内最大級の高さであることが分かったということです。
研究成果をまとめた奈良文化財研究所の目黒新悟 研究員は、「塔の中で一番大事な相輪がかなり大きいのが特徴で、国が安泰になるよう願いが込められた。奈良時代の人たちも大きさに驚いたのではないか」と話しています。

【東大寺コメント】
今回の研究成果について東大寺は「これまでの東塔の復元案とは異なる姿を示すもので、天平の東塔の姿が知りたいという思いに1つの答えをいただいたと受け止めている。東大寺として史跡整備や伽藍(がらん)復興を進めるうえで考慮すべき重要な研究成果だ」とコメントしています。