小林製薬紅麹問題 製品自主回収から1か月 原因の解明急ぐ

小林製薬の紅麹を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、会社が製品の自主回収を公表してから22日で1か月となります。
紅麹原料からは国の研究機関の調査で、「プベルル酸」のほかに少なくとも2つの通常は入っていない物質が確認されていて、厚生労働省などは物質の特定を進めるとともに健康被害の原因の解明を急ぐことにしています。

小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントをめぐっては、摂取したあと、腎臓の病気を発症するなどしてこれまでに5人が死亡し、会社は今月(4月)18日の時点でのべ240人が入院したと国に報告しています。
去年、大阪の工場で製造された紅麹原料からは国の研究機関の調査で、「プベルル酸」のほかに少なくとも2つの通常は入っていない物質が確認されたことが関係者への取材でわかっています。
これらが人体に影響を与えたのかどうかなど詳しいことはわかっていないということで、厚生労働省は物質の特定を進めるとともに健康被害の原因の解明を急ぐことにしています。
一方、大阪市にある大阪健康安全基盤研究所でも国と連携する形で製品の分析などの調査を始めていて、大阪市は今週中にも対策本部会議を開き、今後の調査などについて改めて協議する方針です。

【紅麹 大阪健康安全基盤研究所でも製品分析などの調査開始】
小林製薬の本社がある大阪市の横山市長は、問題が公表されてから1か月となった22日、報道陣の取材に対し、原因究明に関して、「国のほうで進められている原料の調査に加えて、府市のほうでは製品を調査するなど、役割分担しながら取り組みを進めている。いろいろなアプローチで原因究明に努めたい」と述べ、国と連携する形で、大阪健康安全基盤研究所でも製品の分析などの調査が始まったことを明らかにしました。
また、横山市長は、「原因究明と平行して製品の回収と健康被害の状況の把握に向けた作業を進めている。近いうちに会議を開いて現状の取り組みと今後について共有し、発信できる情報は可能なかぎり発信していきたい」と述べ、今週中にも市の対策本部会議を開き、今後の調査などについて改めて協議したいという考えを示しました。

【診察した医師は】
小林製薬の「紅麹」の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、患者を診察した神戸大学の医師がNHKの取材に応じました。
患者はいずれも腎臓の「尿細管」という部分に異常が起きたとみられるということで、医師は、このサプリメントを摂取した人は症状がなくても検査を受けるよう呼びかけています。
神戸大学医学部附属病院腎臓内科の藤井秀毅 准教授によりますと、小林製薬の「紅麹」の成分を含むサプリメントを摂取し、先月(3月)以降、医療機関を受診して健康被害が疑われる患者が、神戸大学と県内の関連病院のあわせて4つの病院で5人いたということです。
患者は50代と60代の男女5人で、いずれも自覚症状はありませんが、このうち3人は詳しい検査や経過観察のため一時、入院したということです。
藤井准教授によりますと、5人とも腎臓の機能に異常が起きていて、▼体内のカリウムが通常より少なかったり、▼尿の中に糖やたんぱく質が含まれたりしていました。
一度作られた尿のもととなる液体から必要な栄養素などを再吸収する「尿細管」という部分に障害が起きたとみられるということです。
このうち60代の女性患者は、腎機能をはかる「GFR」という指標が一時、正常値の半分以下となり、今も完全には回復しておらず外来で経過を観察しているということです。
藤井准教授は、「紅麹のサプリメントが関係していることは間違いないと考えている。どんな物質が影響しているかはまだ分からないが、2年近く摂取した人も、1か月だけの人も障害が出ている」と指摘しています。
そして、腎臓の病気はかなり重くならないと自覚症状が出ないと指摘したうえで、問題のサプリメントを摂取していた人は、症状がなくても早い段階で医療機関を受診し、検査を受けるよう呼びかけています。
また、一般的なサプリメントについても、病気で治療薬を服用している場合は薬との相互作用などもあるため、摂取する前に医師に相談することが大事で、健康な人も必要性があるかなどを慎重に検討する必要があると指摘しています。

【小林製薬紅麹問題1か月 関西でも受診相次ぐ】
小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントをめぐっては、関西でも健康被害の訴えが相次いでいます。
関西2府4県の自治体によりますと、先週までに体調に異変を感じるなどして医療機関を受診した人はあわせてのべ198人となっています。
入院した人は25人いました。
死亡した人はいませんでした。
先月(3月)29日に設置された厚生労働省と消費者庁のコールセンターの電話番号は0120−388−687で、午前9時から午後9時まで、土日や祝日も相談を受けつけています。

【小林製薬 24日の万博関連イベントに参加辞退 紅麹問題受け】
小林製薬は、紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓病などを発症した問題を受けて、24日に開催される万博関連イベントへの参加を辞退しました。
小林製薬によりますと、大阪・北区で24日に開かれる万博関連のシンポジウムで、社員がパネリストの1人として登壇する予定でしたが、参加を辞退したということです。
小林製薬は、万博で、医療や健康分野を中心とした展示を行う「大阪ヘルスケアパビリオン」への参加を予定しています。
会社は、今回のイベントを辞退した理由について「万博自体への参加を現在社内で検討している状況のため参加は辞退させていただいた。紅麹関連製品の回収およびお客様の問い合わせへの対応などに全力をあげて取り組んでおり、詳細の回答を差し控えさせていただく」としています。