古今和歌集の注釈書 藤原定家の自筆の原本発見 京都

鎌倉時代を代表する歌人、藤原定家が古今和歌集の歌の解釈を記した書物「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の原本が京都で発見され、調査した専門家は「国宝級の発見で定家と古今和歌集の研究を進めるための貴重な資料になる」としています。

新たに見つかったのは、藤原定家が古今和歌集の歌の解釈を記した注釈書で、鎌倉時代に書かれた「顕注密勘」の上、中、下の3冊です。
定家の子孫にあたる京都市上京区の冷泉家で行われた調査で見つかり、このうち「上」は写本ですが、ほかの2冊は自筆の原本です。
定家様(ていかよう)と呼ばれる独特の書体で書かれ、「八座沈老」という定家の署名も記されています。
「顕注密勘」は、古今和歌集の歌について平安時代末期の学僧が記した注釈に、定家がみずからの考えを付け加える形で構成されていて、見つかった原本には余白が足りず紙を貼り付けて書き足している部分もあります。
いくつもの写本は残されていますが、原本の存在は知られていませんでした。
調査した京都産業大学の小林一彦 教授は「自筆の原本が残されていたことは大きな驚きで国宝級の発見だ。定家と古今和歌集の研究を進めるための貴重な資料になる」と話していました。
また、冷泉家時雨亭文庫の冷泉為人 理事長は「古今和歌集は日本文化の象徴なので、定家の考えを知ることができる資料を見つけた意義は大きい」と話していました。