先天性の難病の胎児をおなかの中で手術 阪大などのグループ

先天性の難病のため背骨の神経がゆがんでうまく発育しなくなる胎児に対し、母親のおなかにいるうちにゆがみを治す手術を国内で初めて行い、症状の一部を抑えることに成功したと大阪大学などの研究グループが発表しました。

大阪大学医学部附属病院胎児診断治療センターの遠藤誠之 副センター長らのグループは、3年前(令和3年)の4月から背骨の神経がゆがんでうまく発育しなくなり脳や運動の機能に障害が出る「脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)」という先天性の難病の胎児6人に対し、おなかの中にいるうちに手術を行いました。
この手術は母親の子宮を8センチほど切開し、胎児の背中を直接切り開いて背骨の神経のゆがみを治すものです。
6人はいずれも妊娠25週で手術を受け、このうち1人は感染症のため生後まもなく亡くなりましたが、4人は無事に生まれ、脳の症状の一部を抑えることに成功したということです。
残りの1人は今後、生まれる予定です。
グループによりますと、胎児の段階で行う今回の手術は生まれた後に行う場合と比べ脳や運動機能の障害を抑えられるとして欧米では一般に行われていますが、国内では初めてだということです。
グループは今後も手術を行って安全性や有効性を確かめ、早ければ3年後に実用化したいとしています。
遠藤副センター長は「出生前検査でこの病気がわかることもあり、今回の手術が病気の胎児と家族にとって新たな選択肢となるよう体制を整えていきたい」と話していました。