教室不足続くなか 大阪 西淀川区に新たな特別支援学校開校

全国的に特別支援学校の教室不足が課題となるなか、大阪・西淀川区で、閉校となった高校の跡地を活用した新たな特別支援学校が開校しました。

特別支援学校に通う子どもは、昨年度、全国で14万7000人余りと過去最多となり、教室不足が課題となっていて、大阪府でも去年10月の時点で、足りない教室の数は370に上っています。
こうした中、府は、教室の確保に向けて西淀川区に府立出来島支援学校を新たに設置することになり、9日、開校式が行われました。
式では武田幸造 校長が、「子どもたちが将来の自立に向けた力をつけることができる学校となるよう教職員一丸となって努力してまいります」とあいさつしました。
この学校は、閉校となった高校の跡地を活用していて、およそ33億円をかけて校舎や体育館を改修するなどして整備されました。
主に知的障害のある子どもたち200人から250人ほどの受け入れを見込んでいて、今年度は小学部から高等部までの190人が通学する予定だということです。
府によりますと、この学校が開校したあとも特別支援学校の教室不足は続くことからさらなる学校の増設など対策を進めていくということです。

【特別支援学校 教室不足の実態は】
国の調査によりますと特別支援学校に通う子どもの数は去年10月の時点で全国で14万7000人余りとなっています。
これは10年前の平成25年に比べておよそ2万人増えています。
こうした状況を背景に、特別支援学校の教室不足が課題となっていて大阪府内で不足している教室の数は370にのぼり、東京に次いで全国で2番目に多くなっています。
各特別支援学校では、▽音楽室や図工室などを転用したり、▽教室内に間仕切りを置いてスペースを分けたりするなどの対応をとっていますが、それでも教室不足は解消できず、国が定めている1学級あたり▽小中学部で6人、▽高等部で8人という基準を超える人数で授業を行っているケースも少なくないということです。
大阪府内では、去年の時点で府立の特別支援学校が46あり、およそ9500人が在籍していて、府は今後、▼今ある特別支援学校2校で教室を増やしたり、▼大阪市と豊中市にさらに2つの学校を整備したりして、対策を進めることにしています。
特別支援学校では、子ども一人一人の特性にあった指導が受けられることなどから希望者が増えているということで、大阪府教育庁支援教育課の上田哲司 主任指導主事は、「障害への理解や支援学校への認知が進み、保護者のニーズが高まっています。まだまだ教室不足の現状は続いているので、今後も新しい学校を整備するなどして不足を解消していきたい」と話していました。

【大阪府内の教室不足 “深刻な状況”】
特別支援学校に通う子どもの保護者や教職員などでつくる「大阪の障害児教育をよくする会」によりますと、府内の教室不足は今も深刻な状況だといいます。
保護者からは、▼自宅の最寄りに学校がなく1時間ほどバスに乗って通学しているとか、▼教室内に基準を超えた多くの児童や生徒がいて、子どもがパニックを起こしたなどの声も寄せられているということです。
会では、「少人数の落ち着いた環境でそれぞれの特性にあった授業ができるよう府は、いっそう対策を進めてほしい」と話しています。