小林製薬「紅麹」問題 入院中の患者が心境語る

小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓病などを発症した問題で、腎臓の病気を発症し、現在も入院している女性が、NHKのインタビューに応じ、不安な心境を語りました。

インタビューに応じたのは、小林製薬のサプリメントを飲んだあと腎臓の病気を発症し、今月(4月)から病院に入院している60代の女性です。
女性は、おととし(2022年)11月ごろから小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を毎日飲んでいましたが、先月(3月)13日、尿が泡立つ症状やけん怠感などのため、地元のクリニックを受診しました。
その結果、腎機能が低下していることが分かり、症状が比較的、重かったことや原因が分からなかったことなどから大学病院に入院することになりました。
女性に持病はなく、このサプリメント以外に薬などは飲んでいなかったということで、この問題が報道されたことを受けて、手元のサプリメントを確認したところ、小林製薬が「想定していない成分を含む可能性がある」と発表した製造番号と一致していたということです。
女性は、「サプリメントのことは疑いもしていませんでしたが、ニュースを見て、これが原因ではないかと思いました。亡くなった人もいたと聞き、とても不安でした」と話していました。
女性は、一般的に薬の影響などで腎臓の機能が低下する「ファンコニー症候群」と診断されたということで、現在は入院して治療と詳しい検査を受けています。
女性は、「気軽に摂取できる製品で、健康を害することはあってはならないことだと思います。健康は取り戻せるか、後遺症が残ることはないのか、とても不安です。会社には、何が原因だったのか究明し、症状の重さによらず、きちんと補償してほしい」と話していました。

【「紅麹原料」製造途中のサンプルも保管】
小林製薬のサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題では、「紅麹原料」を製造する工程で想定しない成分が混入したとみられていますが、この「紅麹原料」の製造途中のサンプルが保管されていることが会社への取材で分かりました。
どの工程で混入したか究明する手がかりになるものとみられます。
小林製薬では、大阪工場で製造した「紅麹原料」について一定の量のロットごとにサンプルを保管していて、去年1年間に製造した88ロットのうち10ロットのサンプルからプベルル酸とみられる想定しない成分が見つかりました。
「紅麹原料」の製造工程で混入したとみられていますが、どの段階で混入が起きたかは分かっていません。
会社によりますと、製造工程は主に「培養」と「調合」の2つに分かれていて、「培養」の工程でも一定量のロットごとに製造途中のサンプルを保管しているということです。
厚生労働省と大阪市は工場への立ち入りや会社側への聞き取りを通じて原因を調べています。
製造途中のサンプルを分析することによって、どの工程で混入が生じたか究明する手がかりになるものとみられます。