小林製薬の紅麹原料 厚労省などが和歌山の工場に立ち入り検査

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、厚生労働省と和歌山県は31日、食品衛生法に基づき和歌山県紀の川市の工場に立ち入り検査を行いました。

立ち入り検査が行われたのは、紀の川市にある小林製薬の子会社の工場です。
この工場は、老朽化を理由に去年12月に閉鎖された大阪市内の工場から製造設備を引き継いで紅麹原料を製造していて、午前9時半ごろ、厚生労働省と和歌山県の担当者、あわせて17人が入りました。
会社は大阪市内の工場で去年4月から10月にかけて製造した紅麹原料から、青カビから発生することがある「プベルル酸」とみられる物質が確認されたとしていて、立ち入り検査では大阪の工場から移設された設備や製造工程などを確認したということです。
立ち入り検査は午後2時半ごろに終了し、現場で取材に応じた小林製薬の山下健司製造本部長は、「検査を受ける立場なので、内容は差し控えたい。国の調査には今後も誠実に対応していきたい」と話していました。
小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして、29日までに5人が死亡、のべ114人が入院したことがわかっていて、会社は「原因となった疑いがある」として調査を進めています。
【製造設備は大阪の工場から移設】
和歌山県紀の川市の工場では、ことし1月から紅麹原料を製造していて、その前の月に閉鎖した大阪市内の工場の製造ラインがほぼそのまま引き継がれているということです。
製造設備は大阪の工場のものが移設されて使われていて、蒸した米に紅麹菌を植え付けて培養したあと加熱して粉砕するなどして原料を作るという製造工程も同じだということです。
また、大阪の工場では5人ほどのスタッフが製造を担当していましたが、そのうちの一部は紀の川市の工場でも引き続き製造にあたっているということです。
今回の問題を受けて、紀の川市の工場では紅麹原料の出荷を3月19日に停止しています。
小林製薬の山下健司製造本部長は29日の会見で、「紀の川の工場の製造設備を見ていただければ、閉鎖した大阪工場での製造工程を確認することができると考えている」と話していました。