小林製薬の紅麹原料製造した工場に厚労省と大阪市立ち入り検査

「小林製薬」の「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が、腎臓の病気などを発症した問題で、厚生労働省と大阪市は30日、食品衛生法に基づき紅麹原料を製造していた、大阪市の工場に立ち入り検査を行いました。
厚生労働省は31日、この工場の製造設備を引き継いだ和歌山県の工場にも立ち入り検査を行うことにしています。

立ち入り検査が行われたのは、紅麹原料を製造していた大阪市淀川区の小林製薬の工場です。
30日午前11時ごろ、厚生労働省と大阪市の担当者、あわせて16人が相次いで入りました。
会社によりますと、この工場で去年4月から10月にかけて製造した紅麹原料から想定しない成分が検出されていて、人体への影響はわからないものの青カビから発生することがある「プベルル酸」とみられることがわかったということです。
工場は去年12月に老朽化を理由に閉鎖されるまで稼働していて、小林製薬によりますと、▼蒸した米に紅麹菌を植え付けて培養し加熱して粉砕した後▼成分が均一になるよう調合するなどして紅麹原料を製造していたということです。
厚生労働省と大阪市は、30日の立ち入り検査で▼製造工程や残った設備を確認するとともに▼当時の状況について会社から話を聞くなどしたとみられます。
厚生労働省は31日、和歌山県とともにこの工場の製造設備を引き継いだ、紀の川市の工場に立ち入り検査に入ることにしています。
小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして29日までに▽5人が死亡、▽のべ114人が入院したことがわかっていて、会社は「原因となった疑いがある」として調査を進めています。

【会社“全面的に協力”】
30日午後4時ごろ、小林製薬の山下健司 製造本部長が大阪市の工場前で報道陣の取材に応じ、厚生労働省と大阪市の30日の検査が終わったことを明らかにしました。
工場での検査は4時間半ほどで、山下製造本部長は「検査には全面的に協力し誠実に対応を進めていきたいと思っております。このたびは多大なるご迷惑とご不安をおかけしていること、大変申し訳ございません」と改めて陳謝しました。
一方、30日の検査内容については「われわれは検査を受ける立場なので、話せる立場にない」と述べました。

【「想定しなかった成分」サプリ用だけか】
健康被害の訴えが出ている製品の紅麹原料が製造されたのは、小林製薬の大阪工場で、去年(2023年)は18.5トンが製造され、大きく分けて3つの用途に使われています。
1つ目は小林製薬のサプリメント・「紅麹コレステヘルプ」などで2.4トン。
2つ目は他の企業のサプリメントなどで6.9トン。
3つ目は他の企業の食品の着色や風味付けなどで9.2トンとなっています。
会社の調査ではロットから「想定しなかった成分」が確認され「プベルル酸」とみられていますが、この成分は▼サプリメントなどに使われた紅麹原料の一部に含まれ、▼食品の着色などに使われた紅麹原料には含まれていなかったということです。
今後はこうしたことも踏まえて、製造工程にどのような違いがあるのかなどを調べるものとみられます。