遺族側会見“歌劇団側がパワハラ認め謝罪 意義は大きい”

宝塚歌劇団に所属する25歳の劇団員が死亡し、遺族側が上級生からのパワハラなどが原因だったとして歌劇団側に謝罪と補償を求めている問題で、遺族側の弁護士は28日、記者会見を開き、歌劇団側が去年11月の調査報告書で確認できなかったとしていたパワハラがあったことを認め、遺族側に謝罪したことを明らかにしました。

この問題で、遺族の代理人を務める川人博 弁護士と井上耕史 弁護士が28日午後4時から記者会見を開きました。
この中で遺族側の弁護士は、「阪急・劇団側がかたくなにパワハラの存在を否定してきたが、明確に多数のパワハラの存在を認め、遺族に謝罪したことの意義は大きい。また、劇団幹部や上級生らが行った執ようなパワハラ行為の存在を明確に認めたことは『治外法権』のような劇団内部の実態を改革し、あしき伝統を見直す第一歩として重要な意義がある」と話しました。

遺族側の弁護士は「歌劇団に求めていた謝罪と補償について合意し、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長らが遺族に対して謝罪した」と明らかにしました。

遺族の弁護士は補償について「阪急・劇団は、遺族に対し、本件に伴う慰謝料等解決金として相当額の金員を支払う」との内容で合意したと明らかにしました。

遺族の代理人の井上耕史 弁護士は、亡くなった劇団員の母の「訴え」を公開しました。
この中で「一切パワハラはなかったと主張された劇団が多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました。娘の尊厳を守りたい一心できょうまできました。言葉では言い表せないたくさんの複雑な思いがあります。娘に会いたい、生きていてほしかったです」と読み上げました。

遺族の代理人の川人博 弁護士は「従前から遺族側が主張したパワハラ行為について、おおむね今回の合意書の中に反映することができた。すべて100%こちらの主張したことと合意書が一致する関係ではないが、内容としてはおおむね従前から主張した内容で合意書締結にいたった」と述べました。

川人弁護士は、「宝塚歌劇団は関西の経済界において最も有力な企業集団の1つである阪急阪神グループが所有し運営する組織で、劇団事業はグループの顔となる存在だ。事件後、速やかに遺族に謝罪すべきだったが事実を究明せず、責任を曖昧にしパワハラを否定し続けた。グループが反省し改善すべきことは無数にあることを強く指摘したい。弁護団は芸術・芸能部門における深刻な人権侵害の実態を痛感した。今後、芸術・芸能分野で働く人々の人権が守られ、いのちと健康が尊重されるよう努めたい」と話しました。

【“上級生など6人から謝罪文”】
川人弁護士は、「上級生など6人から謝罪文をもらった。加えて近く、もう1人から謝罪文をもらうことになっている。誰なのか特定されるのは遺族も本意ではないので謝罪文の内容についてここでは申し上げられない」と話しました。

【“亡くなった責任認めたと理解”】
川人弁護士は劇団員が亡くなったこととパワハラなどの行為との関係について、「因果関係を明確に認めることばは合意書には入っていない。ただ、パワハラによって多大な心理的負荷を与えたことや安全配慮義務違反があったことを認めているわけで合意書にあえて書かなくても亡くなったことに対して阪急・劇団側は責任を認めたという理解だ」と述べました。