小林製薬「紅麹」問題 株主総会で社長謝罪 対応を問う声も

「小林製薬」は「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題が深刻となる中、28日、株主総会を開きました。
小林章浩 社長が今回の問題を謝罪した一方、株主からは会社の対応を問う声が出たということです。

小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどして28日までに▼4人が死亡、▼106人が入院したことが分かっていて、会社は、「原因となった疑いがある」として調査を進めています。
こうした中、小林製薬は28日午前から大阪・北区のホテルで株主総会を開きました。
報道陣には非公開でしたが会社側の説明によりますと、小林章浩 社長が冒頭、今回の問題について「多大なるご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」と謝罪したうえで「健康被害にあわれた方への対応、お客様、取引先への対応を真摯(しんし)に行うとともに、これ以上の被害拡大防止と原因究明に全社をあげて、全力をあげて取り組んでまいります」と述べたということです。
会社によりますと、株主からは「最初に健康被害を把握してから回収までの対応が遅かったのではないか」とか「今後も死者が増えるおそれがあるのか」という質問が出たということです。
これに対し会社側は▼調査に時間がかかったことや▼因果関係がまだ明確になっているものはなく、まずは使用の中止と体調の回復を目指していることを説明したということです。
株主総会は2時間ほどで終了し、会社側が提出した小林社長を含む7人の取締役の選任議案などが可決されたということです。

【社長謝罪 発言の内容は】
小林製薬は、大阪・北区のホテルで非公開で行われている株主総会の冒頭で小林章浩 社長が発言した内容を明らかにしました。
それによりますと、はじめに「当社が販売しておりました機能性表示食品 紅麹コレステヘルプなどを摂取された方において腎疾患等が発生し、多大なるご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」と謝罪したということです。
このあと、株主に問題の経緯を説明し、「お亡くなりになったお客様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、健康被害にあわれた方の一刻も早い回復をお祈り申し上げます」と述べたということです。
そして、大阪市による行政処分などについて説明したうえで、「健康被害にあわれた方への対応、お客様、取引先への対応を真摯(しんし)に行うとともにこれ以上の被害拡大防止と原因究明に、全社をあげて、全力をあげて取り組んでまいります。あらためて深くおわび申し上げます。このたびは申し訳ございませんでした」と述べたということです。

【株主たちの声 “丁寧な対応を”】
60代の株主は「会社が上場したときから株主で、信頼していたのに人の命に関わる問題が起きてショックです。原因をどのように調べて、いつごろ判明するのかが会社側にいちばん聞きたいことです」と話していました。
また、70代の株主は「製品を回収するまでの対応が遅く、経営側の問題だと感じています。社長がいつ知ったのか、どのように思っているのかを聞きたいです」と話していました。
30代の株主は「製品と健康被害についての関係性が分かっている訳ではありませんが、こうした事態になっていることに対して株主としては怒りや悲しみを感じます。会社には丁寧な対応をしてほしいです」と話していました。

【出席した株主は】
株主総会が終わった後、出席した株主からは、小林製薬の対応についてさまざまな声が聞かれました。
70代の男性は「この問題に対して会社が責任をもって対応しようとしていることが分かりました。ただ、これだけの健康被害の事例が出ているのに商品との因果関係を認めていないことについては企業の受け止めとして不十分さを感じます」と話していました。
60代の男性は「商品の回収や健康被害への補償はすると言い切っていましたが、『被害は収まるのか』という株主からの質問に『分からない』と答えていて、費用の試算などがしっかり検討できていないと感じました。経営責任について問われた社長は『今は事案への対策をやっていく。その後のことは分からない』と答えていました」と話していました。
70代の女性は「新たに2人が亡くなったという説明があり驚きました。分からないことが多いので会社の体制を見直す前にこの問題への対応をいち早くしてほしいです。出席した株主から社長に向けて応援することばが投げかけられると、社長は涙を流していました。応援する株主もいるのでしっかり頑張ってほしい」と話していました。