宝塚音楽学校の合格発表 倍率は2000年以降で最低に

兵庫県の宝塚音楽学校で27日、合格発表が行われ、40人がこの春に入学することになりました。
去年(2023年)、宝塚歌劇団の劇団員が死亡した問題が起きてから初めての入学試験となりましたが、倍率は12倍と2000年以降では最も低くなりました。

宝塚音楽学校の合格発表は、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、受験番号を校内に掲示する方法を取りやめていますが、ことしも「諸般の事情を考慮した」として、ホームページでの発表となりました。
27日は合格を確認した受験生が学校を訪れ、記念撮影する姿も見られました。
宝塚音楽学校によりますと、ことしは480人が受験し、合格したのは40人だったということです。
このうち、2度目の受験で合格したという大阪・茨木市の16歳の女性は「舞台に立ちたいという思いは、どんなときも変わりませんでした。自分の歌と踊りで観客を笑顔にできるような舞台人になりたいです」と話していました。
宝塚歌劇団では去年(2023年)、25歳の劇団員が死亡し、遺族側が歌劇団側に謝罪と補償を求めていて、合意に向けた詰めの協議が進められています。
学校ではこの問題が起きてから初めての入学試験となりましたが、学校によりますと、ことしの倍率は12倍と去年の15.3倍を下回り、2000年以降では最も低くなりました。
入学式は来月(4月)19日に行われる予定で、新入生は2年間、声楽やバレエなどのレッスンを受けてタカラジェンヌを目指すことになります。

【劇団員死亡問題受け 学校理事長退任も】
去年(2023年)、宝塚歌劇団の25歳の劇団員が死亡した問題を受けて、宝塚音楽学校でも阪急阪神ホールディングスのトップが兼務していた理事長の職を退く事態となりました。
宝塚歌劇団の宙組に所属していた25歳の劇団員は去年9月、兵庫県宝塚市で死亡しているのが見つかり、遺族側は長時間の業務と上級生からのハラスメントが原因だったとして、歌劇団に対して謝罪と補償を求めています。
この問題をめぐっては、遺族側と歌劇団側が合意に向けた詰めの協議を進めていて、遺族側は先月(2月)記者会見を開き、遺族側が主張する上級生などからの15件のパワハラについて、歌劇団側がこのうちの多くがパワハラに該当すると認めたことを明らかにしました。
この問題を受けて、宝塚歌劇団では当時の理事長が去年12月1日付けで辞任しましたが、宝塚音楽学校でも阪急阪神ホールディングスの角和夫 会長が理事長の職を退き、去年12月からは歌劇団の理事長を務める村上浩爾氏が兼務する形となっています。
今月(3月)1日に行われた卒業式で、村上理事長は劇団員が死亡した問題に触れたうえで、「みなさんが安心して舞台に立つことができるよう、時代に合わないことは組織風土改革を通じて改善していきたい」と述べました。

【宝塚音楽学校とは】
兵庫県にある宝塚音楽学校は、1913年に現在の阪急電鉄が「宝塚唱歌隊」を創設したのが始まりで、去年(2023年)、110周年を迎えました。
「清く 正しく 美しく」が校訓で、生徒たちは予科1年、本科1年のあわせて2年間、声楽やダンス、演劇などを学びます。
所定の成績をおさめ、学校を卒業することが宝塚歌劇団に入団する条件となっています。
ホームページなどによりますと、入学試験では面接や歌唱、舞踊などを通じて舞台への適性を審査します。
このうち面接では、容姿や態度、華やかさなどが審査の対象になるということです。
合格者は毎年40人ほどですが、1970年代以降、「ベルサイユのばら」の上演による宝塚歌劇ブームなどを背景に倍率が急速に高まり、1994年には48.25倍と過去最高を記録しました。
その入学の難しさから、かつては「東の東大、西の宝塚」とも言われていたということです。
しかし、入学希望者はここ数年、減少傾向にあり、去年の受験者数は612人、倍率は15.3倍となっていました。