新幹線金沢敦賀開業前日 サンダーバード和倉温泉行き最終出発

北陸新幹線の金沢・敦賀間が16日に開業するのに伴い、大阪・京都と金沢方面を結んでいた特急「サンダーバード」は、すべて敦賀駅発着となります。
15日、JR大阪駅では、鉄道ファンなどが和倉温泉行きの最終列車を見送りました。

北陸新幹線の金沢・敦賀間が16日、開業するのに伴い、大阪・京都と金沢や福井などを結んでいた特急「サンダーバード」はすべての列車が敦賀駅発着となります。
15日は、大阪発・金沢行きや和倉温泉行きの列車の運行が最後になることから、JR大阪駅のホームには、和倉温泉行きの最終列車を見届けようと、多くの鉄道ファンなどが集まりました。
そして、午前11時前に列車が出発すると、集まった人たちが写真を撮ったり、手を振ったりして見送っていました。
旅行会社がこの列車の乗車券に記念のグッズをつけたツアーを発売したところ、受け付け開始からおよそ10分で完売したということです。
奈良県の33歳の男性は「北陸新幹線の敦賀開業で『サンダーバード』は一つの役目を終えたことになると感じています。列車から見るのが最後になる景色もあるので、楽しみたいと思います」と話していました。
金沢行きの「サンダーバード」の最終列車は15日午後9時前に大阪駅を出発する予定です。

【関西からの料金・時間は】
北陸新幹線の金沢・敦賀間が開業すると、大阪・京都と金沢方面を結んでいる特急「サンダーバード」などは敦賀駅発着に変更となります。
JR西日本によりますと、新幹線の開業後は特急と新幹線を乗り継ぐことで▼大阪・福井間の所要時間は最大3分、▼大阪・金沢間は最大22分、▼大阪・富山間は最大29分、短縮できるということです。
一方、大阪・金沢の間では、運賃と特急料金を合わせた金額が9410円となり、特急だけで行く現在の方法より1620円高くなります。
(※「サンダーバード」の大阪・金沢の指定席は7790円)。
京都・金沢は700円高くなります。
このため、JRはネットで事前に購入することで割り引きになる企画乗車券などを販売することで割高感を抑えたいねらいです。
料金以外に課題と指摘されていたのが敦賀駅での乗り継ぎです。
敦賀駅では、特急列車が到着する1階のホームと3階にある新幹線ホームを移動する必要があります。
JR西日本は、乗り換えに最低8分かかると見込んでダイヤを組んでいますが、ことし1月に行われた乗り換えのシミュレーションでは、13分かかったということです。
このためJRは、▼ホームまでの経路に特急ごとに色分けした案内標示を設置したほか、▼特急の停止位置を変更することで人の流れを分散させ、スムーズな乗り換えを促したいとしています。
JRは新幹線の開業後も、課題が見つかれば改善策を講じていきたいとしています。

【福井県“関西からの観光客も”】
北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業で、首都圏から福井などへのアクセスが大幅に改善することが見込まれています。
一方、関西などからの特急列車は敦賀駅止まりとなるため、福井や金沢に向かう際は乗り換えが必要になるうえ、料金も高くなることから、心理的な抵抗感や経済的な負担が増す可能性もあります。
福井県の推計によりますと、おととし(2022年)、県外から訪れた観光客のうち、関西からの観光客は4割余りにあたるおよそ257万人が占めていました。
このため、福井県は北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業後も、関西方面からの観光客の誘致に取り組むとしています。
この一環として、福井県は石川県、富山県と共同で、ことし7月にJR大阪駅前に開業予定の商業施設にアンテナショップをオープンさせることにしています。
このアンテナショップでは、北陸3県の食品や工芸品などを販売するほか、観光スポットの案内を行うことにしています。
福井県大阪事務所の萩原雅広 所長は「北陸新幹線の開業によって首都圏などからの観光客の割合が上がっていくのはいいことだが、引き続き関西からも大勢の方に来てもらいたい。大阪駅前にオープンする情報発信拠点=アンテナショップも活用しながら幅広い情報発信を行い、関西からの観光客の割合が下がらないように取り組んでいきたい」と述べました。

【ブルーインパルスが事前飛行】
北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業を16日に控える中、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム、「ブルーインパルス」が福井県内の上空で事前飛行を行いました。
航空自衛隊の「ブルーインパルス」は16日、北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業を記念し、停車駅となる県内の4つの駅の上空で祝賀飛行を行う予定です。
15日は事前飛行が行われ、福井市の上空では6機の機体が白いスモークを出して6つの輪を重ねたさくらの花を描いたり、華麗な動きを見せたりする様子が見られました。
福井市の足羽川沿いには、事前飛行を見ようと多くの人が集まり、機体が上空を通ると大きな歓声を上げたり、写真を撮ったりしていました。
福井市の70代の女性は「初めて見ましたが、迫力があってとても感激しました。あすの新幹線開業が楽しみになりました」と話していました。
「ブルーインパルス」の祝賀飛行は、16日午後0時38分ごろからそれぞれの新幹線の駅の上空で行われ、このうち、福井駅の上空では午後0時55分ごろからおよそ15分間、演目飛行が披露される予定です。
福井県は、足羽川にかかる幸橋周辺の河川敷での観覧を勧めていますが、混雑が予想されるため、周辺の道路や店舗の駐車場に車を止めることはせず、公共交通機関を利用するよう呼びかけています。

【新幹線開業前に福井駅前で“恐竜”が始動】
北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業を16日に控える中、JR福井駅周辺ではにぎわいを生み出そうと設置された恐竜のロボットが15日から動き始めました。
福井県と福井市は全国で最も多くの恐竜の化石が見つかっている「恐竜王国・福井」をアピールしてにぎわいを生み出そうと、福井駅周辺に恐竜のロボットやモニターなどの設置を進めてきました。
北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業を控える中、15日は駅周辺の9つの恐竜スポットがお披露目され、このうち、駅の西口ではことし1月に設置されたティラノサウルスのロボットが初めて動き始め、大きな雄たけびを上げると集まった地元の子どもたちを驚かせていました。
福井駅周辺では東口に設置されたトリケラトプスのロボットも15日から頭や口を動かすようになり、こうした場所はバスの停留所にあるモニターで調べることができるということです。
福井県恐竜戦略室の斉藤輝幸 室長は「恐竜のモニュメントやロボットは全部で22体に増えました。北陸新幹線で訪れた人が福井駅に降り立ったとき、恐竜だらけで恐竜の街だとワクワク感を抱いてもらいたい」と話していました。

【敦賀から新大阪までの計画は?】
「北陸新幹線」は、1973年(昭和48年)に北陸を回って東京と大阪の間を結ぶルートで整備計画が決まり、順次、建設が進められてきました。
3月16日に金沢・敦賀間が開業することで、計画のおよそ8割が完成したことになります。
建設主体の鉄道・運輸機構が2019年に公表した概要によりますと、敦賀から新大阪までの未着工区間については、敦賀駅から福井県小浜市を通ったあと、京都府を南下し、京都駅や京田辺市付近を経由して新大阪駅につなげる計画です。
中間の駅は、▼福井県小浜市の東小浜付近、▼京都駅、▼京都府京田辺市の松井山手付近の3か所に建設するとしています。
現在、鉄道・運輸機構は、着工に向けて環境アセスメントを行っている段階ですが、▽京都府内で反対の声が上がっていることに加えて、▽新大阪駅などでの施工が技術的に難しいことなどから、当初、今年度(2023年度)はじめとしていた着工は遅れていて、メドは立っていません。
さらに、およそ2兆円とされていた建設費が増加する可能性も指摘されています。
当初の計画では、新大阪・敦賀間は2046年ごろに開業する予定でしたが、現時点で全線開業は見通せない状況となっています。