網戸のコードで女児死亡 高裁 1審と逆に2社に賠償命じる

5年前(令和元年)、自宅の窓に取り付けられた網戸を上下させるためのコードに当時6歳の女の子の首がひっかかり死亡したのは、コードの製造会社や設置業者が使用上の説明を怠ったことなどが原因だとして、両親が賠償を求めた裁判で、大阪高等裁判所は、両親の訴えを退けた1審の判決とは逆に、2社に対して5800万円余りを支払うよう命じました。

訴えによりますと、5年前の2019年、兵庫県に住む当時6歳の女の子が自宅の窓に設置された網戸を上下させるためのコードに首が引っかかり死亡しました。
女の子の両親は、▽コード付きの網戸を製造したアルミ建材会社「YKK AP」と、▽コードを設置したリフォーム会社の「土屋ホームトピア」に対し、製品には欠陥があり、リフォーム会社の従業員は使用上の注意に関する説明を怠ったなどと主張して、損害賠償を求める訴えを起こしましたが、大阪地方裁判所は、おととし、訴えを退け、両親は控訴しました。
14日の判決で、大阪高等裁判所の黒野功久 裁判長は、「製品に設計上の欠陥があったとはいえないが、安全対策の指示や警告が十分だったとは言えない」などと指摘しました。
さらに「リフォーム会社の従業員は、コードの危険性や、コードを束ねるためのクリップの使い方について両親に説明しなかった」などとしてアルミ建材会社とリフォーム会社の責任を認め、2社に対してあわせて5800万円余りを支払うよう命じました。

【判決について2社は】
判決について「YKK AP」は、「判決文が届いていないためコメントできない」としたうえで、「大変痛ましい事故であらためてお悔やみ申し上げます。当社の商品でこのような事故が起きたことについて大変重く受け止め、引き続き品質安全の向上に努めてまいります」としています。
「土屋ホームトピア」は、NHKの取材に対して「回答しない」としています。

【コード絡まないよう注意を】
判決によりますと、この製品は「YKK AP」が製造・販売し平成19年以降、年間およそ25万セットが出荷されていたということです。
会社は、事故を受けて、製品の出荷方法を変更し、▽コードを束ねるクリップや、▽「窒息などの事故につながるおそれがある」と書かれたタグをそれぞれコードに取り付けた状態で出荷しています。
また、コードの束ね方を案内する動画をホームページで公開して事故につながらないよう注意を呼びかけています。
消費者庁によりますと、ブラインドなどのコードが子どもの首に絡まった場合、2〜3分で死亡するおそれがあるということです。
消費者庁は、▽子どもの手の届かない高さでコードをまとめることや▽踏み台になるおそれのあるいすやテーブルなどは近くに置かないようにするなど対策を呼びかけています。