大阪「あべのハルカス」全面開業10年で記念式典

高さ300メートルを誇る「あべのハルカス」は7日、全面開業から10年を迎え、地元の子どもたちが参加して記念式典が行われました。

大阪・阿倍野区の「あべのハルカス」で行われた式典には、一日店長に任命された漫才コンビ、オール阪神・巨人のオール阪神さんのほか、地元の幼稚園児などが参加しました。
式典ではまず、オール阪神さんが「きょうは私も誕生日です。家から真正面に見える『ハルカス』には思い出がありコロナ禍の時は『ニコちゃんマーク』を点灯して元気を与えてくれた。今後もともに歩んでいきたい」と挨拶しました。
このあと、ビルの58階にある天空庭園では「あべのハルカス」と同い年の地元の小学4年生、およそ230人の将来の夢が書かれたボードが披露されました。
「あべのハルカス」は10年間でおよそ3億7336万人が訪れ、このエリアに新たなにぎわいを生み出しました。
一方、「日本一の高さのビル」の座は去年(2023年)、明け渡していて、今後、どのように魅力を発信していくかが課題となっています。
近鉄不動産の浦崎敏幸 常務取締役は、「昔はディープな場所だったが『ハルカス』ができて、オフィスで働く人や若い人などいろいろな人が来てもらえるようになり、街が大きく変わった。今後、ソフト面を充実させて価値を高めていきたい」と話していました。

【あべのハルカスとは】
「あべのハルカス」は、高さ300メートルを誇る超高層ビルで、2014年3月に本格的にオープンしました。
「はるかす」という名称は、平安時代に書かれた「伊勢物語」に登場する古語で、「心が晴れ晴れとする」という意味を持つ「晴るかす」からつけられました。
「あべのハルカス」は、近鉄グループホールディングスがあべの・天王寺エリアの新たなシンボルにしようと建設したもので、近畿日本鉄道の「大阪阿部野橋駅」のほか、デパートや美術館、ホテルなどが入居しています。
さらに最上階部分にある展望台は、大阪を一望できるスポットとして人気を集め、これまでに施設全体でのべ3億7336万人が訪れています。
当時、近鉄が建設を決めた背景には、2000年代に入り、再開発が進められた梅田や、若者からの支持を広げた難波との競争が激しくなっていたことがあり、会社としては、天王寺エリアを「キタ」や「ミナミ」に次ぐ大阪の第3の拠点としてにぎわいを創出したいという思惑がありました。
会社は、相次ぐ規制緩和によって天王寺エリアに高層ビルが建設できるようになったことを踏まえ、当時、日本一の高さだった横浜ランドマークタワーを超える超高層ビルの建設を決定。
天王寺公園の芝生広場、通称「てんしば」などの整備も進め、あべの・天王寺エリアの回遊性を高めた結果、街の知名度などの向上につながりました。
ただ、去年11月には「あべのハルカス」は高さ日本一の座を東京の超高層ビルに明け渡していて、日本一の称号が使えなくなる中、今後も安定的に集客を図れるかは課題となりそうです。
近鉄グループとしては、地元と連携して町ぐるみでイベントを企画するなど、街の魅力についての発信を強化していく考えです。