大学生が就職希望企業の経営者を“採点” 大阪でイベント

少子化などによる採用競争が過熱する中、選ばれる側の大学生が就職を希望する企業の経営者に点数をつけるというユニークな就職活動のイベントが大阪市で行われました。

このイベントは東京の採用コンサルタント会社が2月28日に大阪市の結婚式場で開いたもので、関西地方の学生60人と企業の経営者6人が参加しました。
イベントには特別なルールが設けられていて、経営者と学生は2時間余りにわたって懇談をしたあと、いっしょに働きたいかどうかを基準に企業側だけでなく学生側も5点満点で点数をつけます。
お互いの点数を足した合計の上位2組を「ベストマッチング」と位置づけ、その経営者と学生は、事実上の最終面接となる「食事会」へ進みます。
学生との懇談の時間では、みずからの理念や価値観を学生たちに伝える経営者の姿が多く見られ、これについてイベントを企画した会社の高崎誠司 社長は「給料や福利厚生よりも経営者の考えに共感できることが離職を防ぐ最善の策であると考えていて、そのやりとりに時間を割くことにしている」と話していました。
厚生労働省が去年10月に発表した大卒の入社から3年以内の離職率は、平均で32.3%で、従業員が100人未満の規模の企業では、40%を超えています。
中小企業ほど若い人材の離職が浮き彫りになっていて、ミスマッチをどう防ぐかが大きな課題です。
この日のイベントでは、14組のベストマッチングが誕生し、不動産会社の社長は「就職は結婚や恋愛と同じでお互いフェアな立場で評価し合うことが重要だと思っているので、正当なサービスだと感じています」と話していました。
また、パチンコ店運営会社の常務と「食事会」に行くことになった大学3年の男子学生は「ありのままの自分を受け入れてくれる雰囲気があり高得点をつけました。こちらが点数をつけるのはおこがましいですが、自分で点数をつけて企業からも選んでもらえるのは自信にもつながります」と話していました。
このイベントについて若者の就職事情に詳しいリクルートワークス研究所の古屋星斗 主任研究員は「いま企業では管理職を部下が評価する『360度評価』が浸透しているが、その考え方が採用活動の現場にも広がっていることのあらわれだと感じる。点数化によってお互いの納得感が強まることが評価されているのではないか」と分析しています。