能登半島地震 においを抑える仮設トイレで支援 大阪の企業

能登半島地震の被災地で、大阪の企業がにおいを抑える特殊な仮設トイレを設置する支援活動に当たっていて、22日も被災地に向けて出発しました。
一方で、支援が長期化する中で企業側の負担も大きくなっているということです。

これは大阪の企業が製造している仮設トイレで、高温の蒸気によって殺菌し、においを抑えることができ、ふだんは有料で貸し出しています。
この企業は、能登半島地震の被災地で、無償で期限を設けずに設置する支援活動を続けていて、地震前にあった在庫のすべてにあたる63台を石川県珠洲市などに設置しています。
今回、新たに3台を追加で設置することになり、22日、大阪・住吉区の倉庫からトラックで七尾市に向けて出発しました。
本来の貸し出し業務に対応するため新たな仮設トイレの製造を進めていますが、被災地での無償の設置が長期化する中、負担は大きくなっているということです。
被災地で活動にあたっているNPOなどから「トイレを有料で借りたい」という問い合わせも寄せられているということで、この企業では、どのように支援活動を継続していくか模索したいとしています。
仮設トイレの支援活動を行っている企業「インプルーブエナジー」の尾張伸行 社長は「商売のことを考える前にできることをしたいという気持ちで支援を始めました。ただ、無償での支援を長期間にわたって続けていくのは難しいため、何らかの協力が得られればうれしいです」と話しています。

【におい抑制の仮設トイレ】
この仮設トイレは大阪の企業が専門家と協力して開発し、製造しています。
400度の高温の蒸気を汚物に噴射し、殺菌するとともににおいを抑えられるということです。
日常に近いトイレ環境を提供しようと便座のヒーター機能を取り付けているほか、外からの見た目も住宅の外壁の素材が使用され、一般的な仮設トイレとは異なるものになっています。
開発に携わった工学博士で、金沢大学の廣瀬幸雄 名誉教授は「加熱した蒸気を吹きつけることによって汚物からにおいを消すことができます。今回の被災地ではこのトイレを使って泣いて喜んでくれる方もいました」と話しています。

【製造現場では】
この仮設トイレは大阪の企業が岐阜県岐南町にある工務店に依頼して製造しています。
追加の仮設トイレの製造が進められていますが、被災地のニーズを踏まえて、現在、シャワールームの製造も行われています。
トイレの設置のために大阪の企業の社員が被災地を訪れた際、シャワーのニーズも大きいことが明らかになり、この工務店に依頼して急きょ開発しました。
資金が不足していたため、知人などおよそ15人から200万円をつのり、工務店側も最低限の価格で設計や製造を引き受けたということです。
製造を依頼した大阪の企業の川口啓太 部長は「何かできることがないかと取り組みを進めています。避難所に届く物が自分たちの技術で少しでも良くなるのならうれしいです」と話していました。