堺 大阪湾のクジラ死ぬ 大阪府 一時的に埋設する方針

大阪湾では、先月(1月)からクジラの目撃情報が相次いでいましたが、19日、大阪・堺市の港で死んでいるのが確認されました。
大阪府は、掘り出して骨格標本として活用できることなどから、一時的に埋設する方針を決めました。

大阪湾では、体長13メートル余りのマッコウクジラとみられるクジラが、先月から、兵庫県西宮市の沿岸や、大阪・岸和田市の沖合、それに、大阪・関西万博の会場となる夢洲周辺などで確認されたあと、堺市の堺泉北港にとどまったままになっていました。
18日夕方、民間の船から海上保安庁に「クジラが動いていない」という通報があったことから、大阪港湾局の担当者が、19日午前、専門家とともにクジラの状態を調査した結果、死んでいるのが確認されました。
これを受けて、大阪府は、クジラの対処方法について検討する会議を開き、▼解体する必要がなく現場での作業が短期間で済むことや、▼1年から2年後に掘り出して骨格標本として活用できることなどから、一時的に埋設する方針を決めました。
府は、港に隣接している府の産業廃棄物の最終処分場に埋設することにしており、今週中には、作業を終えたいとしています。

【大阪知事“3点を理由に埋設を選択”】
大阪府の吉村知事は、記者団に対し、「地元の関係者と協議して了解を得た適切な埋設場所を確保することができ、大阪市の自然史博物館から骨格標本として価値が高いので確保してもらいたいという申し出もあった。そして、海に戻すより費用がかからないという3点を理由に埋設という方法を選択した」と述べました。
その上で、吉村知事は、「埋設場所は、立ち入り禁止エリアなので、無断で立ち入って見に行ったり掘り起こしたりしないように府民の皆さんにはお願いをしたい」と述べました。

【クジラ専門家“養分不足が原因で死んだか”】
19日午前、大阪湾でクジラの状態を調査し死んでいることを確認した、海洋生物に詳しい大阪海区漁業調整委員会の鍋島靖信 専門委員は、「下あごが開き血液がにじんでいるほか、呼吸がないことなどから死んでいることを確認した。少し前の映像を見たときから体がすごくやせていた。ふだん、食べているダイオウイカなどの大型のイカ類は、大阪湾にはいないため、養分が不足したことが原因で死んだとみられる」と指摘しています。
また、クジラが大阪湾に迷い込んだ理由について、「黒潮から枝分かれした水温が高い流れが大阪湾に流れ込んでいた。いわば、暖かい水の“ベルトコンベア”にクジラが運ばれ、大阪湾に流れ込んできたと考えられる」と話しています。
そして、クジラが湾から出られず死んだ理由については、「クジラはみずから出した音がものに当たり跳ね返ってくることを利用して位置を把握している。大阪湾は南や北を向けば岸壁があるうえ、西を向いても防波堤があるので出口が分かりづらく自分がいた場所に戻ってしまうということを繰り返すうちに、体力を消耗して死んだのではないか」と話していました。