春闘 大阪の労使トップが会談“去年上回る賃上げを”

ことしの春闘が本格化するのに合わせて、大阪の経済界と労働界のトップが会談し、物価高が続く中、去年を上回る賃上げに向けて取り組んでいくことを確認しました。

14日、大阪・北区で開かれた「大阪労使会議」には、関経連=関西経済連合会や連合大阪の代表者、あわせて26人が出席しました。
はじめに、連合大阪の田中宏和会長は「物価高が続く中、賃上げを大企業だけではなく、社会全体にすそ野を広げていかないといけない。原材料費やエネルギーコストだけでなく、労務費の商品やサービスの価格への転嫁が喫緊の課題だ」と述べたうえで、去年を上回る5%以上の賃上げを求める考えを示しました。
これに対して、関経連の松本正義会長は「ことしは、日本が再び停滞期に戻るか、賃金と物価が適度に上がる安定的な経済に移行するかを決める極めて重要な年だ。企業の社会的責務として会員企業に対して前年を上回る賃上げを強く働きかけている」と応じました。
ことしの春闘では、30年ぶりの高い賃上げ率となった去年の勢いを維持できるかや、賃金が持続的に上昇する経済の好循環を生み出し、デフレからの完全脱却につなげられるかが焦点です。
また、▽中小企業で賃上げの原資を確保するための価格転嫁が進むのかや、▽非正規雇用で働く人に賃上げの動きが広がるのかも課題となっています。

【パートやアルバイトの時給引き上げる動きも】
ことしの春闘では、中小企業や非正規の労働者など幅広い賃上げが進むかが焦点となる中で、企業の間では、人材の獲得や定着のためにパートやアルバイトの時給を上げる動きも出始めています。
このうち、大阪・此花区のテーマパークでは、ことし4月からパートやアルバイト、あわせておよそ1万2000人を対象に、時給を一律で50円引き上げることにしています。
時給の引き上げは3年連続で、最も低い時給は現在の1160円から1210円となります。
外国人観光客の需要などが回復し、旅行やレジャー業界での人材の獲得競争が激しくなる中、会社としては、待遇改善を図ることで多言語対応ができる人材などの確保につなげたい考えです。
このほか、会社では、アルバイトから正社員への登用も進めていて、人材の定着を図りたいとしています。
USJ=ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社の人事部の安積絵里 課長は「これまでと同じことをやっているだけでは望んでいる人材や人数を確保できない。人材への投資には今後も力を入れていきたい」と話していました。
このほか、流通大手の「イオン」がグループで働くパートなどおよそ40万人を対象に時給を平均でおよそ7%引き上げる方針を固めています。
物価高が続く中で、大企業の正社員だけでなく、非正規の労働者などを対象にした待遇改善の動きがどこまで広がるかが焦点となっています。