センバツ高校野球 出場校決定 近畿からは7校

ことし3月に甲子園球場で開かれるセンバツ高校野球に出場する32校が決まり、近畿からは去年秋の近畿大会で史上初の3連覇を果たした大阪桐蔭高校など「一般選考」の6校のほか、困難な状況を克服したチームなどが対象となる「21世紀枠」から和歌山の田辺高校の合わせて7校が選ばれました。

ことしで96回目を迎えるセンバツ高校野球は、26日、大阪市内で出場校32校を決める選考委員会が開かれ、関西2府4県の近畿地区からは去年秋の地方大会の成績などを参考にした「一般選考」で6校が選ばれました。
▼去年秋の近畿大会で史上初の3連覇を果たした大阪桐蔭は5年連続15回目の出場で2年ぶりの優勝を目指します。
京都からは2校です。
▼秋の近畿大会で準優勝した京都外大西高校は18年ぶり7回目の出場です。
▼また、近畿大会でベストフォーに入った京都国際高校はおととし、大会前にチーム内で新型コロナウイルスの感染が広がり出場を辞退していて、3年ぶり2回目の出場です。
▼同じくベストフォーの和歌山の耐久高校は江戸時代末期に創立した伝統校で、創部120年目で春夏通じて初めての甲子園出場です。
さらにベストエイトに進出したチームから2校が選ばれ、▼兵庫の報徳学園は2年連続23回目の出場、▼滋賀の近江高校は2年ぶり7回目の出場となりました。
また、困難な状況を克服し、好成績を残したチームなどが対象となる「21世紀枠」で和歌山の田辺高校が選ばれ、76年ぶり3回目の出場となりました。
田辺高校は教育相談を担った経験がある監督がスクールカウンセラーと連携し、精神面のサポートをするなど選手との対話を重視したことがこれからの時代の1つのあり方として評価されました。
ベンチ入りメンバーが20人未満で臨んだ去年秋の和歌山県大会では、市立和歌山高校や智弁和歌山高校といった強豪校に勝って、準優勝した実力を評価する声も多かったということです。
ことし8月に開場から100周年を迎える甲子園球場で開かれる節目の大会は3月8日に組み合わせ抽せんが行われ、18日に開幕し、2日の休養日を含めて13日間の日程で行われます。

【大阪桐蔭】
5年連続15回目の出場が決まった大阪・大東市の大阪桐蔭高校では、選手たちがセンバツ出場をオンラインの配信で確認しました。
このあとグラウンドに集まった選手たちに今田悟校長が「おめでとう」と声をかけると、選手たちは声をそろえて「ありがとうございます」と答えていました。
校長からの激励の言葉を真剣に聞いていました。
キャプテンの宮本真司郎選手は「発表を受けて、身が引き締まる思いです。個人としては甲子園は初めてなので甲子園球場でプレーできることに感謝して、チームで一丸となって勝ちにこだわりたいです」と意気込みを話しました。
西谷浩一監督は「日本一をかけた戦いのスタートラインに立てて感謝しています。今のチームは全員、仲が良く、チームのまとまりの良さが強みです。去年の春の甲子園で優勝できなかったこと、夏に出場できなかったことの2つの悔しさを忘れずに本気で大会に挑みます」と話していました。

【京都外大西】
京都外大西高校では、野球部の部員や保護者らおよそ100人が京都市右京区にある京都外国語大学の講堂に集まり、選考委員会の様子を大型のモニターを通して見守りました。
出場校として校名が読み上げられると、選手たちは拍手で喜びを表現し、監督や選手が花束や応援メッセージが書かれたボードを受け取っていました。
京都外大西高校は18年ぶり7回目のセンバツ出場で、上羽功晃監督は「センバツで大暴れしてみんなで校歌を歌いたい」と健闘を誓っていました。
また、キャプテンの乾光葵選手は「名前が呼ばれてほっとしました。甲子園では感謝の気持ちを忘れずに一戦一戦、戦い、優勝を目指したい」と話しました。
粘り強い投球が持ち味の左腕エースの田中遙音投手は「甲子園のマウンドを楽しみたい」と話していました。

【京都国際】
京都市東山区の京都国際高校では、校長や生徒らおよそ35人が校内のホールに集まり、選考委員会の様子をインターネットのライブ配信で見守りました。
そして、出場校に選ばれたことを見届けた朴慶洙校長がグラウンドに赴き、練習中の選手らを集めて「センバツ出場、おめでとう。準備をして頑張りましょう」と伝えました。
これに対して、選手たちは力強くガッツポーズをするなどして喜びを分かち合っていました。
エースでキャプテンの中崎琉生投手は「選ばれてホッとしたというのが正直なところです。チームはパズルだと思うので、これからの1か月半でチーム力を磨き、足りないところをお互いが補うことを意識しながら練習していきたいです」と意気込みを語っていました。
小牧憲継監督は「ピッチャーの中崎を中心とした守備型のチームですが、この冬は打撃面の強化に力を入れてきたので、秋の大会とはひと味違う姿を見せたいです。また、前回選ばれたときは新型コロナの影響で辞退したので、当時の選手たちの無念さも背負って、さらに進化した姿を見せたいです」と話していました。

【耐久】
和歌山県からは去年秋の近畿大会でベストフォーに進出した湯浅町の耐久高校が創部119年で春夏通じて初めての甲子園出場を決めました。
耐久高校の野球部は創設が明治38年(1905年)と、119年の歴史を持ちますが、甲子園出場は春夏通じて一度もありませんでした。
去年秋の近畿大会では、その耐久高校がエース、冷水孝輔投手を中心とした粘りの野球でベストフォーに進出し、初の甲子園出場に期待が高まっていました。
26日、湯浅町の学校の校長室では、午後4時ごろ、戸川しをり校長がオンラインで配信される選考の様子を見守りました。
そして、耐久高校の名前が読み上げられると、校長は拍手をして喜んでいました。
このあと、グラウンドの選手たちにセンバツ出場が決まったことが伝えられ、選手たちはそろって帽子を空高く投げ上げ喜び合っていました。
また、センバツ出場を伝える町内の防災無線が聞こえると、選手たちは笑顔を見せていました。
キャプテンの赤山侑斗選手は「素直にうれしいです。センバツでは学校の名前のように、耐え抜いて粘り強い野球をしたい」と話していました。
また、耐久高校野球部のOBでもある、井原正善監督は「先輩方がつないできたものを結実できてよかった。田辺高校と一緒に和歌山旋風を起こせるよう一戦必勝で気を引き締めて頑張りたい」と話していました。
エースの冷水孝輔投手は「憧れていた場所なのでうれしいです。センバツでも自分たちのできることをしっかりやることを意識して頑張ります」と話していました。

【報徳学園】
兵庫県西宮市の報徳学園では、学校の講堂で野球部の部員と監督、それに保護者などおよそ130人が選考の行方をインターネットのライブ配信で見守りました。
26日午後4時ごろ、センバツの出場校として「報徳学園」の名前が読み上げられると、およそ100人の部員たちは、表情を変えることなく静かに選出の理由を聞いていました。
発表が終わると、元田利幸校長が「センバツ出場おめでとうございます。精いっぱいのプレーで苦しんでいる人や光を求めている人に勇気と希望を与えられるような野球をしてくれることを心から願っています」と激励の言葉を伝えました。
続いて、野球部の大角健二監督は、元日に起きた能登半島地震の被災地の現状について触れたうえで「報徳学園は阪神・淡路大震災を経験し、その年には多くの方々の応援や支援によってセンバツに出場した学校だ。今回は、人を勇気づけ、感動させられるプレーを、全力でやりましょう」と呼びかけました。
このあと、グラウンドで報道陣の取材に応じたキャプテンの間木歩投手は「野球ができることが当たり前だとは思わずに、感謝の気持ちを持って、すべての人に元気と勇気を与えられるプレーをしたいです。全国制覇だけを目標に一戦必勝で頑張ります」と意気込みを語りました。

【近江】
滋賀県からは去年の秋の近畿大会でベストエイトに進出した彦根市の近江高校が2年ぶり7回目の出場を決めました。
26日午後、近江高校では、24日からの雪が残るグラウンドで岩谷斉校長が「さきほど、近江高校がセンバツに出場することが決定されました。おめでとう」と出場決定を選手に伝えました。
そして、多賀章仁監督が「高い目標を持ってやってきた成果がセンバツ出場の評価につながったと思う」と述べました。
そのうえで、能登半島地震に触れ「阪神・淡路大震災や東日本大震災の時も、甲子園から希望や元気を届けられたらということで大会が開催された。今回もそういうことだと思う。さらに精進して最高の舞台で近江の野球をしっかり見せられるよう頑張ろう」と激励しました。
主将の中村駿介選手は「うれしい気持ちでいっぱいです。滋賀県の全チームの気持ちを背負って戦い抜きたい」と述べました。
また、サッカー部が今月(1月)全国高校サッカー選手権で準優勝を果たしたことに触れ「大舞台でプレーするサッカー部を応援しながら緊迫感を感じてよい経験をさせてもらった。サッカー部が準優勝なので僕らがそれを塗り替えて、日本一を目標にしたい」と意気込んでいました。
エースの西山恒誠投手は「自分の特徴はテンポよくコースをついて投げることです。9回を完投してチームを勝たせるピッチングをしたい」と話していました。

【田辺】
困難な状況を克服して好成績を残した学校などが対象の「21世紀枠」で、和歌山の田辺高校が選ばれました。
和歌山県田辺市にある、田辺高校は、監督が、スクールカウンセラーと連携し、精神面のサポートをするなど対話を重視して選手を育成し、去年秋の県大会で準優勝したことなどが評価され、「21世紀枠」の候補校となっていました。
26日、高校の校長室には、校長と監督、それに部長の3人が集まり、選考の中継を見守りました。
そして「21世紀枠」として田辺高校が選ばれると、3人は最初は驚いた様子でしたが、そのあとは喜びをかみしめていました。
中でも田辺高校野球部出身の田中格監督は目に涙を浮かべて喜んでいました。
そして西嶋淳校長が「おかげさまで選出されました。本番に向けて努力を続けたい」と語っていました。
このあとグラウンドに集まっていた選手たちに、センバツ出場の決定が校長から伝えられると、選手たちは喜びをわかちあっていました。
田辺高校のセンバツ出場は、76年ぶり3回目となります。
田中格監督は、「みんなよくがんばった。でも絶対に忘れたらいけないのは、この選出は学校の力だ。OBやOGが培ってきた伝統の力、地域のみなさんの力なのでその感謝は絶対忘れないようにしよう。感謝の気持ちを持って甲子園に行こう」と選手たちに語りかけていました。
そしてキャプテンの山本結翔選手は、「21世紀枠代表校に選ばれてとても光栄に思っています。この舞台に立っているのはたくさんの人の支えがあったからなので、とても感謝しています。甲子園という夢の舞台でプレーするので、あと2か月間しっかり準備して、本番では最高のプレーをして勝ち進んでいきたい」と抱負を語っていました。