能登半島地震 医師“救助待つ数日の間に低体温症で死亡も”

能登半島地震で亡くなった人の死因などを調べるため、日本法医学会などから被災地に派遣された医師がNHKの取材に応じ、「建物の下敷きになって動けなくなり、救助を待つ数日の間に低体温症で亡くなったとみられる人もいる」と被害の状況を証言しました。

石川県は、11日午後2時の時点で、県内であわせて213人の死亡が確認されたとしています。
日本法医学会など3つの団体は、能登半島地震の被災地に医師を派遣し、警察とともに遺体の安置場所で死因や死亡時刻などを調べる活動を行っています。
今月3日から6日まで石川県輪島市で活動にあたった金沢医科大学の水上創 教授がNHKの取材に応じました。
水上教授が調べたおよそ40人のうち、多くは70代から90代の高齢者でした。
ほとんどの人には外傷があり、建物が崩れて下敷きになったり体が挟まれたりして亡くなったとみられるということです。
即死に近い状態の人もいましたが地震発生後、しばらくは生存していたものの救助を待つ間に低体温症で亡くなったとみられる人も少なくないということです。
水上教授は「地震の発生から1日から2日ほど生存していた可能性がある人もいました。建物の下敷きになって動けなくなり、体が冷えて低体温症で亡くなったとみられます。家の中で被災されているので防寒着を着た人ばかりではなく冬場の厳しい寒さが追い打ちをかけてしまったかもしれません。暖かい時期であれば、救助が来るまで待つことができた可能性はあると思います」と証言しました。
さらに救命を難しくした要因について「古い町並みでたくさんの建物が一気に倒壊したことや、限られた道路が寸断されてしまったことで救助までに時間がかかった可能性もあると思います」と指摘しました。
そのうえで「私たちの活動も遺体を安置所に運ぶルートがなかなか確保できない状況で、ご家族に早くお返ししたいですが、調べるのに時間がかかってしまっています」と話し、現場での活動は困難な状況が続いていると訴えました。