全国高校ラグビー 4大会ぶり開会式 合同チーム初出場

全国高校ラグビー大会が大阪の花園ラグビー場で開幕し、新型コロナウイルスの影響で中止となっていた開会式が4大会ぶりに行われました。

大会は、今回で103回目を迎え4大会ぶりに行われた開会式では、全国から参加した51チームの選手たちが堂々と行進をして、あこがれの花園の舞台を踏みしめました。
前回優勝した東福岡高校から優勝旗が返還されたあと、秋田工業のキャプテン・大沢空選手が「今、こうして開会式ができることに喜びを感じています。私たちにしかできない最高の大会にして、高校ラグビーの歴史をつなぐことをここに誓います」と力強く宣誓しました。
今大会から少子化の影響で単独でのチーム編成が困難な学校が増えている中、合同チームが認められ、さっそく1回戦で福井代表の若狭東高校と敦賀工業の合同チームが東京第2代表の強豪、目黒学院と対戦しました。
合同チームは、前半15分にラックからナンバーエイトの清水大和選手がボールを持ち出しトライを決めるなどしましたが目黒学院の攻撃を抑えられず、7対62で敗れました。
27日の1回戦では15人で出場した香川代表の高松北高校が鳥取代表の倉吉東高校に48対3で勝ちました。
しかし、大会実行委員会によりますと高松北は選手1人がケガをして14人となりメンバーがそろわず競技規則に基づいて2回戦を棄権しました。
大会は来月(1月)7日に決勝が行われる予定です。

【合同チームの選手は】
合同チームでキャプテンを務めた若狭東高校の若泉裕太選手は「合同チームで出場できてうれしかったです。全国の合同チームに勇気を与えようとプレーしました。ただ、チームでやってきたことを最初から出せていたら、もっとよい試合ができたと思う。悔しい」と話しました。
敦賀工業の浜野悠人選手は「1年間、一緒にやってきた若狭東の皆に感謝しています。学校が違う選手と新しい仲間になり、全員がひとつになってプレーできてよかったです。負けはしましたが、合同チームでも抵抗できるところを見せられたと思います。各地の合同チームにも花園を目指して諦めずに頑張ってほしいと思います」と涙を浮かべながら話していました。

【合同チーム出場の背景】
複数の学校による「合同チーム」が設けられ、全国高校ラグビー大会で初めて出場した背景には、高校スポーツが直面している少子化の影響があります。
ラグビーを含めた全国高校総体を主催する高体連=全国高等学校体育連盟によりますと、高体連に登録されている全国の生徒数は▼2013年度には120万9556人でしたが、▼今年度(2023年度)は106万6201人となり、14万人余り、率にしておよそ12パーセント減りました。
こうした状況を受けて高体連は「少子化によって単独でのチーム編成が困難な学校が増えている中で、これらの学校における部活動の成果発表の機会を確保する必要がある」などとして、今年度からラグビーやサッカー、ソフトボールなど合わせて9つの競技で、全国高校総体への「合同チーム」の出場を認めました。
このうちラグビーは、▼2013年度は2万3972人でしたが、▼今年度は1万7037人まで30%近く減っています。
高体連ラグビーフットボール専門部の池戸成記部長は「少子化の中でスポーツが直面する課題に希望の光を見せてくれた。安全性の観点からラグビーの知識が乏しい教員では顧問や監督が務まらないという特性もあり、人数の減少につながっているかもしれない。今後は指導者の育成も含め、ラグビー界全体としてすそ野を広げていきたい」と話しました。
大会実行委員会のメンバーで大阪府ラグビーフットボール協会の天野寛之会長は「15人で試合に出場するラグビーは多くの人数が必要なので、選択する生徒が少ないのかもしれない。2019年に日本で行われたラグビーワールドカップの盛り上がりが、新型コロナウイルスの影響で部員数の増加につながらなかったことなども減少に歯止めがかからない理由だと思う」と分析していました。
高体連によりますと、今大会に向けて各地で行われた予選では、95の合同チームが出場し全国への出場権をかけて戦ったということです。
ラグビーで合同チームを組めるのは、1校あたりの選手が14人以下と定められています。
若狭東高校の部員数はことし4月に新入生が入部し現在は15人以上いますが、両校の部員数が足りない昨年度から敦賀工業とチームを組んでいたことから、特例で認められました。