筋ジストロフィー症状改善の可能性 大阪大学などのグループ

全身の筋肉が萎縮する難病、筋ジストロフィーの患者に感染症などの治療に使われる薬を投与する治験を行ったところ、症状を改善できる可能性が示されたと山口大学と大阪大学などのグループが発表しました。
グループは今後、さらに患者数を増やした治験を行い、実際に症状の改善が見られるか確認するとしています。

筋ジストロフィーの一種で国内の患者数が1万人を超えるとされる筋強直性ジストロフィーは、細胞でたんぱく質がうまく作られず全身の筋力の低下などを起こす進行性の難病で、根本的な治療法はありません。
山口大学と大阪大学などのグループは、ほかの病気の治療薬からこの病気に有効なものを探そうと感染症などに使われる抗生物質、「エリスロマイシン」に注目し、30人の患者を対象に治験を行いました。
薬を投与するグループと投与しないグループに分けてたんぱく質を作る機能を調べた結果、投与したグループでは検査の数値が改善したということで、研究グループでは患者の症状を改善できる可能性が示されたとしています。
薬の投与による重篤な副作用もなかったということで、今後、患者数を増やした治験を行って実際に症状の改善が見られるか確認し、根本的な治療薬の開発につなげたいとしています。
山口大学の中森雅之 教授は「患者からの期待は高く、治療薬につながるよう今後も開発を続けたい」と話していました。