関西 インフルエンザ流行続く 一部の薬が不足の診療所も

年末年始を前に感染が広がらないか懸念されているインフルエンザについてです。
17日までの1週間に関西2府4県で調査の対象となっている医療機関から報告された患者数は1万9000人余りで、前の週からわずかに減ったものの依然として多い状況です。
1つの医療機関あたりでは、和歌山で30人を超えて、大きな流行が起きているとされる「警報レベル」となっています。
感染対策を徹底したいところですが、いま、せき止めなど一部の薬が足りない状況となっています。

【患者数 多い状況続く】
厚生労働省のまとめによりますと、今月(12月)17日までの1週間に関西2府4県で調査の対象となっているおよそ790の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1万9061人で、前の週の0.92倍とわずかに減少したものの、依然として多い状況が続いています。
ひとつの医療機関あたりの患者数を府県ごとにみると、▼和歌山が30.45人、▼奈良が29.24人、▼兵庫が28.1人、▼滋賀が24.42人、▼京都が23人、▼大阪が19.72人で、和歌山では大きな流行が起きているとされる「警報レベル」の30人を超えています。
各府県は、感染対策を徹底するとともに、発熱などの症状がある場合は早めに医療機関を受診するよう呼びかけています。

【大阪 患者数急増の診療所も】
大阪・河内長野市の診療所では今月(12月)に入りインフルエンザの患者数が急増していて、医師らが対応に追われています。
大阪・河内長野市にある内科と小児科の診療所では、発熱などの症状を訴えて受診する患者が目立っていて、今月に入り多い日で20人以上がインフルエンザと診断されているほか、新型コロナの患者も毎日のように出ているということです。
診療所には22日も午前中から多くの患者が訪れ、このうち発熱やのどの痛みで受診した60代の男性は検査を受けインフルエンザと診断されていました。
患者の急増に伴い、深刻になっているのが薬の不足です。
せき止めや解熱剤など一部の薬が不足する状況が続いていて、この診療所の近くにある薬局でも在庫が限られているということです。
このため、診療所では通常は1度に5日分出す薬を3日分に減らすなど処方のしかたを工夫していて、症状が長引く場合は改めて受診するよう協力を呼びかけているということです。
診療所の水野宅郎 院長は、「せき止めなどの薬が少し足りない状態が続き患者さんには不便をかけていますが、症状が長引く場合はもう1度取りに来てもらうといった方法でなんとかやりくりしています。この状況が早く改善してほしいです」と話していました。
また、多くの医療機関が休診となる年末年始に向けては、「家族や友人と集まる機会が多くなると思うので、手洗いや必要に応じてマスクを着用するなど基本的な感染対策を徹底してほしいです。体調が悪くなった場合は休診している医療機関が多いからといってためらわず、早めに受診してほしいです」と話していました。

【薬不足で卸売り会社は】
大阪に本社のある大手の医薬品卸売り会社では、インフルエンザの患者が増え始めた秋ごろからせき止めや解熱剤など一部の薬が不足し、十分に供給できない状況が続いています。
大阪・中央区にある医薬品の卸売り会社では、関西を中心に医療機関や薬局に卸すおよそ2万種類の薬を扱っていますが、インフルエンザの患者が増え始めたことし10月ごろから、せき止めや解熱剤など一部の薬が特に品薄となっています。
取材に訪れた21日も、市内の複数の取引先から「薬を注文したい」という電話がありましたが、担当者が「申し訳ないが用意できない」などと説明していました。
薬が不足する背景には、ジェネリック医薬品のメーカーで製造工程の不正が相次いで発覚したことがあります。
複数のメーカーが業務停止などの行政処分を受けて供給が細るなか、インフルエンザなどの感染が拡大し、薬の不足に拍車がかかっているのです。
この会社でも、一部のせき止め薬などはメーカーから入荷する量が半分以下になったということで、倉庫の棚にはわずかな量が残っているだけでした。
会社では取引先の医療機関や薬局に代わりとなる薬を提案したり、社内の支店どうしで在庫を調節したりしていますが、すべての注文に応えられない状況が続いています。
ケーエスケー大阪支店の小林宏之 営業第1課長は「患者さんの治療に必要な薬を届けることができず、非常に申し訳ない。メーカー側の供給がすぐに回復するとは思えず見通しは厳しいが、一日でも早く改善できるようメーカーや医療機関と協力してできるかぎりのことをしていきたい」と話していました。