万博 イタリアがパビリオンの起工式 参加国自前建設で初めて

再来年の大阪・関西万博に参加する予定のイタリアが19日、会場の夢洲でパビリオンの起工式を行いました。
参加国が自前で建設するタイプのパビリオンで起工式が行われるのは初めてです。

起工式には、イタリア政府の代表のほか、博覧会協会の石毛博行 事務総長らが出席し、工事の無事を祈りました。
イタリアのパビリオンは「ルネサンスの理想の都市」をテーマにしていて、平屋建ての建物の内部には「コロッセオ」のような構造物がつくられるほか、屋上にイタリア式の庭園も設けられる予定です。
万博の期間中は生命科学やロボットといった最新技術に触れる展示のほか、オペラの上演などが計画されています。
イタリアのマリオ・ヴァッターニ万博政府代表は「参加国の中で最初となる起工式を行い、機運醸成に向けてポジティブなニュースを届けることができた。工事についてこれから考えなければいけないことも出てくると思うが、博覧会協会とも話し合って進めていきたい」と話していました。
イタリア政府などによりますと、パビリオンの建設に必要な許可はすでに大阪市から得ているということで、民間の検査機関から建築確認を得たあと、来月(来年1月)以降、本格的な工事に取りかかるとしています。
参加国が自前で建設するタイプのパビリオンで起工式が行われるのは初めてで、今後、博覧会協会などは準備が遅れている国をサポートし、建設を加速させたい考えです。

【大阪市長“スムーズな建設支援”】
参加国が自前で建設する海外パビリオンの準備の遅れが懸念されているなか、19日、初めてイタリアが起工式を行ったことについて、大阪市の横山市長は、「大変うれしく思います。完成をすごく楽しみにしています。このタイプのパビリオンの準備は、スケジュール上では押しているところがあったとしても、2025年4月には必ず万全の状態で開幕できると考えている。各国がスムーズに建築に移れるよう、市としてできることを着実にやっていきたい」と述べました。
また、今後、参加国のパビリオンの工事が集中する見通しとなっていることについては、「会場の周辺整備が重要であり、交差点の改良や資材置き場の確保などを進めてきた。工事が本格化すれば、各国で一部を作ってから持ち込むケースも出てくると思う。さまざまなケースに対応できるよう、いろいろな選択肢を検討のそ上にあげ、会場建設がスムーズに進むようにしていきたい」と述べました。

【各国の状況と課題】
大阪・関西万博にはあわせて159の国と地域が参加する予定で、このうち自前でパビリオンを建設する「タイプA」の国はおよそ60か国ですが、準備の遅れが表面化しています。
これまでに建設会社が決まっているのは、12月18日の時点で32か国で、着工した国はありません。
建設に必要な許可で各国の進捗(しんちょく)状況を整理すると、大阪市に基本計画書を提出したのは21か国で、このうち、大阪市の許可を取得したのはチェコ、モナコ、ルクセンブルク、イタリア、ベルギー、アイルランド、トルクメニスタン、それにシンガポールの8か国。
さらに、その先の民間の検査機関から建築確認を得て着工に必要な行政上の手続きをすべて終えたのはアイルランドだけとなっています。
来月(来年1月)以降、手続きを終えた国が順次、着工するとみられますが、開幕に向けて各国の工事のスケジュールが集中することも懸念されています。