今年の漢字は「税」 京都 清水寺で発表

ことし1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が京都の清水寺で発表され、「税」の文字が選ばれました。

「今年の漢字」は京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が、その年の世相を表す漢字ひと文字を一般から募集し、最も多かった字が選ばれています。
ことしは先月(11月)1日から今月(12月)6日までの14万7878票の応募の中から、最も多い5976票を集めた「税」の文字が選ばれました。
京都市東山区にある清水寺では12日午後2時すぎ、森清範 貫主が大きな和紙に「税」の字を一気に書き上げました。
「税」が選ばれたのは、消費税率が引き上げられた2014年(平成26年)以来、2回目です。
協会によりますと、「税」の字が選ばれた理由について、▽1年を通して増税の議論が行われたことに加えて、▽所得税などの定額減税が話題にのぼったことのほか、▽インボイス制度の導入やふるさと納税のルールの厳格化など、「税」にまつわるさまざまな改正や検討が行われたことなどをあげています。

【森 貫主“国民がシビアに見ている”】
筆を執った清水寺の森清範貫主は「税」が選ばれたことについて「国民がシビアに税の行方を見ている。税に対する意識が非常に強いことを改めて感じた」と話しました。
そのうえで「世の中は不穏な空気ばかりだが、来年こそは世界の人々が和むような『和』という字が選ばれることを願っている」と話していました。

【書道教室の子どもたちは】
大阪・淀川区の書道教室に通う子どもたちにも、ことしの漢字を教えてもらいました。
このうち、小学4年生の男の子は『球』という漢字を書き、「ことしはWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本が優勝して楽しそうだったので少年野球チームに入りました。来年はホームランをたくさん打てるようになりたいです」と話していました。
小学2年生の女の子は、「気合いの『気』を書きました。チアを習っていて、気合いを入れて練習したからです。来年も気合いを入れて頑張ります」と話していました。
また、小学2年生の男の子は、「ことしの漢字は『色』です。なぜなら虹をたくさん見ることができたからです。二重になった虹も見ました」とうれしそうに教えてくれました。

【大阪 天神橋筋商店街では】
大阪・北区の天神橋筋商店街で、街の人たちにもこの1年を漢字で表現してもらいました。
60代の男性がことしの漢字として選んだのは、平和の「和」です。
男性は、「ウクライナへの軍事侵攻など各地で戦いがあって大変な1年でした。けんかはあかん、平和になってほしいという思いで『和』を選びました」と話していました。
また、30代の男性が選んだのは「早」という字です。
「ことしはWBC=ワールド・ベースボール・クラシックや阪神の優勝があり、いいことがありすぎて、めちゃくちゃ早く時間が過ぎたように感じます」とことしを振り返っていました。
このほか、80代の女性は、ことしも大活躍した大谷翔平選手にちなんで「翔」という字を選びました。
女性は、「大谷選手の活躍を見て夢に向かって頑張る気持ちをもらいました。わたしは80代ですが刺激を受けて大好きな歌の練習を続け、先日カラオケ店の採点で大阪で1位になりました。みなさんにも夢を持ってほしいです」と話していました。

【今年のトップ20は】
「今年の漢字」に寄せられた文字は去年に続いて戦争を意識したものが目立った一方、野球に関連した明るいイメージのものも多く並んでいます。
「日本漢字能力検定協会」によりますと、2番目は「暑」で、夏の平均気温が気象庁が統計を取り始めてから最も高くなったことをあげています。
1番目の「税」との差は405票でした。
3番目は去年最も多かった「戦」でした。
12番目の「争」とともに2年連続でトップ20に入っていて、ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの軍事衝突などの不安が続いていることを物語っています。
一方、野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックで日本が優勝したことや、阪神タイガースがプロ野球で38年ぶりの日本一に輝いたこと、それに大リーグの大谷翔平選手の活躍を受けて、野球に関連した「虎」「勝」「球」「翔」「侍」が、トップ20に相次いでランクインしました。
<※2023年トップ20(票数)>
1位「税」5976
2位「暑」5571
3位「戦」5011
4位「虎」4674
5位「勝」4653
6位「球」3485
7位「高」3468
8位「変」2955
9位「増」2711
10位「楽」2472
11位「翔」2286
12位「争」2267
13位「熱」1723
14位「明」1685
15位「新」1495
16位「金」1487
17位「和」1476
18位「優」1474
19位「侍」1411
20位「幸」1317

【歴代の「今年の漢字」】
「今年の漢字」は、京都市に本部がある「日本漢字能力検定協会」が1995年(平成7年)に始めました。
その年の世相を表す漢字ひと文字を全国から募集し、最も多かったものを「今年の漢字」として、毎年12月12日前後に京都市東山区の清水寺で発表しています。
大きな和紙に一気に書き上げる様子は師走の風物詩になっているほか、その年を振り返るきっかけのイベントとして注目を集めています。
第1回の1995年に選ばれたのは「震」でした。
この年には阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが起きました。
20年前の2003年(平成15年)は「虎」。
この年、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝を果たしました。
15年前の2008年(平成20年)は「変」でした。
この年はアメリカの大統領選挙で変革を訴えたオバマ氏が当選するなど、政治や経済などで変化が多い年でした。
10年前の2013年(平成25年)は「輪」でした。
この年、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。
9年前の2014年(平成26年)はことしと同じ「税」が選ばれました。
消費税率が17年ぶりに引き上げられた年でした。
5年前の2018年(平成30年)は「災」。
北海道胆振東部地震や西日本豪雨など大きな災害が相次ぎました。
4年前の2019年は「令」。
元号が「平成」から「令和」となりました。
3年前の2020年(令和2年)は「密」。
新型コロナが流行し、感染防止のため「3密」を避けるよう呼びかけられました。
おととし(2021年)は「金」。
夏の大会としては57年ぶりに日本で開催された東京オリンピック・パラリンピックで日本の選手が多くの金メダルを獲得しました。
そして、去年(2022年)は「戦」。
現在も続くロシアによるウクライナ侵攻が始まった年でした。