大阪・関西万博“魅力的なコンテンツ発信を”

大阪・関西万博について、海外パビリオンの準備や会場までの輸送の課題についてお伝えしていますが、今回はコンテンツ=会場の展示内容についてです。
アニメーション監督・河森正治さんは、「いのち」をテーマにパビリオンを作るプロデューサーの1人です。
一体どんな展示になるんでしょうか。

【河森監督“見たこともないような新しいものを”】
大阪・関西万博に向けて展示内容の準備も本格的に始まっています。
大阪・関西万博はテーマとして「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げていて、8人のプロデューサーが「いのち」をテーマに会場の中心部にパビリオンをつくることになっています。
このうちの1人で、『マクロス』シリーズなどを手がけてきた、アニメーション監督の河森正治さんは、人間を含む生き物同士の命のつながりを感じることができるパビリオンにしたいと考えています。
その中心的な展示の一つとして河森さんが進めているのが映像コンテンツの制作です。
現実の風景に仮想の映像を重ねる技術などを活用していて、ゴーグルを着用した来場者が、さまざまな生物の命をめぐる冒険を疑似体験して、命のつながりを感じてもらうコンテンツを目指しています。
河森さんは、10分程度の短い時間でも来場者の心を動かすコンテンツにするためにどうすればいいか試行錯誤を繰り返しているということです。
河森さんは「知識や頭に訴えるのではなく、感情や魂に訴えるためには、ある種の臨界量を突破しないといけない。ドラマチックでエンタメでパワーがあるものにしないと、わざわざ万博で出す必要はない。見たこともないような新しいものが生み出せるようにがんばりたい」と話していました。

【万博コンテンツの現在地は】
大阪・関西万博の会場で予定されている企画は▽「いのち」をテーマに8人のプロデューサーが手がけるパビリオン「テーマ館」や▽民間パビリオン、それに▽空飛ぶクルマなど次世代の先端技術を紹介する事業、▽1週間ごとにテーマを変えて地球規模の課題の解決策について考えるテーマウィークなどがあります。
テーマ館は8つのうち3つで会場での工事が始まっていて、アンドロイド研究の第一人者、大阪大学の石黒浩教授のパビリオンでは、「いのちを拡げる」をテーマに、ロボットなどの最先端の技術が生活空間に溶け込む様子を体験してもらう予定です。
また、生物学者で青山学院大学の福岡伸一教授のパビリオンでは、「いのちを知る」をテーマに、来場者が38億年の生命の進化の歴史をたどりながらいのちとは何かを考える展示を行うことにしています。
8人のプロデューサーがそれぞれパビリオンを作ることで人工知能や生物多様性、生きがいなど「いのち」をめぐる多様なテーマを表現しますが、それぞれのメッセージをどうつながった形で発信できるかが課題となります。
また、民間パビリオンは、▽ガンダムを題材にしたパビリオンや▽外壁に京都伝統の西陣織を使用したパビリオンなど、13の企業やグループが出展を予定しています。
これまでに8つが着工していて、協会は準備は順調に進んでいるとしています。
また次世代の先端技術を活用する事業では、「空飛ぶクルマ」が予定されていますが、機体の安全性についての基準などが今も定まっておらず、目標としている商用運航を実現できるかどうかは不透明感が残っています。
コンテンツは準備段階のものも多くありますが、前売券の販売も始まる中、魅力的なコンテンツを示すことも求められています。