JR西 利用者が特に少ない30区間 赤字総額237億円余

JR西日本は人口減少などを背景に、利用者が特に少なくなっている30の区間について、昨年度(2022年度)までの3年間の平均の収支を公表し、赤字の総額は237億円余りとなりました。

JR西日本は、1日に平均何人を運んだかを示す「輸送密度」が、2019年度の時点で2000人未満となった17路線・30区間の収支を去年4月に初めて公表しています。
28日は、昨年度までの3年間の平均の収支を公表し、17路線・30区間はすべて赤字で、赤字の総額は237億8000万円でした。
赤字額は2021年度までの3年間の平均と比べてわずかに縮小しましたが、ほぼ横ばいの状態が続いています。
赤字額が最も大きいのは、▼山陰線の出雲市と益田の区間で33億1000万円でした。
次いで、▼紀勢線の新宮と白浜の区間の28億5000万円、▼関西線の亀山と加茂の区間で15億8000万円などとなっています。
また、100円の運輸収入を得るためにいくらの費用がかかるかを示す「営業係数」は、芸備線の東城と備後落合の区間の1万5516円で、最も採算が悪くなりました。
JR西日本は、芸備線の一部区間について全国で初めて国が仲介する形での協議会の設置を要請しています。
会社としては、利用者が特に少ないこれらの路線について、「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」という認識を示していて、沿線自治体などと地域の交通手段についての議論を進めたい方針です。

【芸備線一部区間 国交相 早期に協議会設置の考え】
厳しい経営が続く、広島県と岡山県を結ぶJR芸備線の一部区間について、斉藤国土交通大臣は、すべての沿線自治体から路線の存続やバスへの転換などを議論する協議会に参加する意向が示されたことを受け、できるだけ早く協議会を設置したいという考えを示しました。
全国の地方鉄道では、多くの路線で赤字が続いていて、先月(10月)、自治体や鉄道事業者からの要請で路線の存続や、バスへの転換などを議論する協議会を、国が設置できることを盛り込んだ改正法が施行されました。
これを受けて、JR西日本は芸備線の一部区間について協議会の設置を全国で初めて国に申請し、沿線自治体である広島県と庄原市、岡山県と新見市の2県2市は、27日までにいずれも議論に参加する意向を示しました。
斉藤国土交通大臣は、28日の閣議の後の会見で、「具体的な協議会のあり方について検討したい」と述べて、できるだけ早く協議会を設置したいという考えを示しました。
そのうえで、広島県から広域的な観点ではほかの沿線自治体とも議論ができるよう調整が必要だという意見が出されたため、今後、広島市や三次市、安芸高田市の3つの市から意見を聞くことを検討する方針を明らかにしました。
斉藤大臣は、3つの市に対して協議会への参加の意向なども確認することになるとしたうえで、それを踏まえて構成員など、具体的な協議会のあり方を検討したいという考えを示しました。