関西で相次ぐクマ目撃 大阪 高槻でも 市が注意呼びかけ

関西でもクマの目撃が相次いでいます。
今月13日には大阪・高槻市で目撃され、市は注意を呼びかけています。

高槻市によりますと、今月13日の午後4時すぎ、高槻市杉生でクマのような動物が住宅の裏にいるのをこの家に住む人が目撃しました。
近くにある柿の木には爪痕があったほか、地面に残された足跡も見つかりました。
市が地元の猟友会に確認したところ、クマの爪痕と足跡でほぼ間違いないと判断したということです。
付近では、▽立ち入り禁止のテープが張られているほか、▽注意を呼びかけるチラシが掲示されていました。
近くに住んでいて庭に柿の木がある93歳の男性は、クマが来ないよう、実っている柿の実を収穫していました。
作業に当たっていた男性は「こわいです」と話していました。
また、近くに住む別の男性は「目撃情報を聞いて不安に思いました。山に行くときはクマ対策の鈴をつけるなど、対策をしています」と話していました。
高槻市では例年、クマの目撃があるということで、市は今回も、▽地域の防災無線で注意の呼びかけをしたり、▽クマに遭遇した際の注意点などを記載したチラシを配布しました。
高槻市農林緑政課の河邉正英さんは「目撃された場所には近寄らないようにしてほしい。万が一、見かけてしまったら、慌てて行動をするとクマも驚いてしまうので、むやみに刺激せず落ち着いて行動してください」と話していました。

【クマ出没 柿に注意を】
専門家は、クマが人里に出没する要因の多くは柿だとして、注意を呼びかけています。
関西でツキノワグマの生息頭数が最も多いのは京都府で、2020年度の時点でおよそ1600頭と推定され、増加傾向にあるということです。
▽次いで多いのは兵庫県で今年度、およそ600頭、▽滋賀県でおよそ316頭、▽奈良県では、2019年から2021年にかけて、およそ70頭から190頭と推定されています。
クマの生態に詳しい兵庫県立大学の横山真弓教授によりますと、関西では兵庫県や京都府などが中心となって広域でクマの個体数を管理していて、極端な増加は抑えられているということです。
各府県によりますと、目撃や出没の件数についても大きな増加はみられず、▽京都府では17日までに691件、▽兵庫県では8月までに247件、▽滋賀県では9月までに62件、▽奈良県では10月までに39件となっています。
大阪では、クマとみられるものも含め、16日までに8件と、例年とほぼ同じでした。
一方で、長期的に見るとクマの生息域は拡大しています。
横山教授は、クマは食べ物を探しながら広域に動き回るため、新たな地域でも目撃されるようになっているのではないかと指摘します。
その上で、「東北のように大量に出没している状況ではなく、そこまでおそれる必要はないが、つき合い方を間違えると非常に危険になります」として、地域にある『柿』の木に注意してほしいと言います。
人の住むエリアに出没したクマが、何に引き寄せられていたか調べると、8割が柿だったということです。
横山教授は「クマが出没した地域は“クマに嫌われる地域”になることが必要です。エサがなければクマはきません。柿の実がたわわに実っていると非常に危険なので早めに取り除いてください」と呼びかけています。
関西でのクマは例年、12月下旬ごろには冬眠するということですが、11月中は動きも活発でとくに注意が必要だということです。