関西大手私鉄 クレジットカードで改札タッチ決済導入の動き

関西の大手私鉄では、クレジットカードをかざすだけで改札を通過できる「タッチ決済」を導入しようという動きが相次いでいます。
多くの外国人観光客が訪れると見込まれる再来年(2025年)の大阪・関西万博を前に、利便性の向上につなげることがねらいです。

このうち、▼近畿日本鉄道は来年(2024年)中にほぼすべてにあたる279駅、▼阪急電鉄も、来年中にほぼすべてにあたる87駅の自動改札機の一部にタッチ決済に対応した専用の読み取り機を導入します。
このほか、▼阪神電気鉄道は、来年中に駅長室などにタッチ決済ができる読み取り機を設置したうえで、再来年からほぼすべての駅の改札機にも導入する計画です。
タッチ決済に対応した「VISA」や「JCB」などのクレジットカードが利用できるということで、今後、ほかのクレジットカードも対象に加わるということです。
また、カードの設定を済ませたスマートフォンでも利用できるということです。
一方、▼大阪メトロでも来年度(2024年度)からすべての駅で順次、「VISA」のタッチ決済に対応した読み取り機を導入する方針です。
各社が導入を進める背景には、外国人観光客の根強いニーズがあります。
国内では、JR西日本のICOCAなどの「交通系ICカード」が普及していますが、大手私鉄各社は交通系ICカードを持っていない外国人観光客が切符の購入に手間取るケースも目立っていたことから、タッチ決済の導入でこうしたニーズに応えたいとしています。
さらに、一部の会社は鉄道の利用データを集め、観光分野などで新たなサービスにつなげたい考えです。
大阪メトロの河井英明 社長は「海外からの客がますます増える中で、タッチ決済の導入は改札機を国際標準化する取り組みの一環だ。そういったサービスをそれぞれの鉄道会社だけでなく、各社が連携して行うことは圧倒的に便利で意義のあることだ」と話していました。

【タッチ決済導入の南海は】
南海電鉄では、おととし(2021年)からクレジットカードのタッチ決済に対応した読み取り機の導入を進めていて、関西空港駅や難波駅など28の駅に設置しています。
主要駅では、特急券の券売機もクレジットカードに対応したものにしていますが、タッチ決済の導入によって▼乗車券を購入したり▼購入したICカードにチャージしたりする必要がなくなることから、特に外国人観光客の利便性の向上につながっているということです。
また、タッチ決済を利用した客に対してほかの交通機関と連携した運賃の割り引きを行うなど、新たなサービスを打ち出していて、今後、データ活用も検討していきたいとしています。
会社では、再来年の大阪・関西万博を見据え、今後、さらにタッチ決済に対応した駅を増やしていく考えです。
南海電鉄鉄道事業本部の藤原隆行 課長補佐は「関西空港駅の切符売り場には長いときで1時間から1時間半、並ぶことがあり、関西の玄関口としては課題があった。大阪・関西万博の開幕までにタッチ決済に対応した駅を増やし、利便性を高めていきたい」と話していました。