万博会場建設費 大阪府・市 増額分の負担受け入れる方針決定

再来年開催される大阪・関西万博をめぐり、会場の建設費がこれまでより500億円多い、最大2350億円になる見通しとなったことを受けて、大阪府と大阪市は、想定を上回る物価上昇が主な理由で、やむをえないなどとして、増額分の負担を受け入れる方針を決めました。

再来年に開催される大阪・関西万博では、会場の建設費を最大1850億円と見込んでいましたが、実施主体の博覧会協会は、先月(10月)、国や大阪府・市などに対し、資材価格や人件費の高騰を受けてこれまでより500億円多い、最大2350億円になる見通しだと伝えました。
会場の建設費は、国と大阪府・市、それに経済界の3者で、3分の1ずつ負担する仕組みになっていて、大阪府と大阪市が、先週、博覧会協会に対し、詳細な説明を求めたことを受けて11月1日、大阪府庁で、吉村知事や横山市長も出席して会議が開かれました。
この中で、博覧会協会の幹部は、増額分の算出根拠などについて回答したのに対し、大阪府と大阪市は、府と市が検証した結果も踏まえ、想定を上回る物価上昇が主な理由で、やむをえないなどとして、増額分の負担を受け入れる方針を決めました。
このあと、吉村知事は記者団に対し「2回目の増額になったことについて、府民と国民の皆さんにおわびをします。今後は、コスト管理によりいっそう努めながら、よりすばらしい万博、日本全体に効果が及ぶ万博を目指して、頑張っていきたい」と述べました。
府と市では、今後、国の動向を踏まえ、必要な予算をそれぞれの議会に提案していくことにしています。

【経済界 増額分負担受け入れる方針】
再来年の大阪・関西万博の会場建設費が最大2350億円に上振れするという見通しとなったことを受けて、経団連や関西経済連合会などは、経済界として増額分の負担を受け入れる方針を明らかにしました。
大阪・関西万博の実施主体の博覧会協会は、これまで会場の建設費を最大1850億円と見込んでいましたが、資材価格や人件費の高騰を受け、最大2350億円に上振れするという見通しをまとめ、建設費を3分の1ずつ負担する国、大阪府・市、経済界の3者に対して理解を求めていました。
これを受けて、▼経団連や、▼関西経済連合会、▼大阪商工会議所、それに▼関西経済同友会の4団体は、上振れした要因などを精査してきましたが、1日、増額分の負担を受け入れる方針を明らかにしました。
4団体が共同で発表した声明では、「調達方法の見直しなど、増額の幅を抑えるための工夫をこらした取り組みが盛り込まれている」としたうえで「建設費の増額について万博の成功に向けて避けられないものと受け入れる。引き続き、経済界の負担分の確保にしっかりと取り組んでいく」としています。
経済界では、これまで企業に寄付を募ってきましたが、「これ以上、寄付を集めるのは容易ではない」という声も根強く、一部からは、1970年の大阪万博の入場料収入などをもとに設立された基金の活用を検討すべきだという意見も出ています。

【関西経済同友会“最大限努力”】
大阪・関西万博の会場建設費が、上振れして最大2350億円になるという見通しがまとまる中、関西経済同友会の角元敬治 代表幹事は増額分の負担について、1日の記者会見で「簡単なことではない」と述べたうえで、地元経済界として最大限、努力したいという考えを重ねて示しました。
万博の実施主体の博覧会協会は、会場建設費がこれまでより500億円多い、最大2350億円になる見通しをまとめ、建設費を負担する国や大阪府・市、それに経済界に対し、理解を求めています。
これについて、関西経済同友会の角元代表幹事は1日の記者会見で、現在、協会から示された見通しの内容について精査しているとしたうえで、「協会サイドでもコスト削減の工夫や努力をしているが、物価や建設資材の上昇や人材不足などでコストが上がらざるをえない状況だ」と述べ、一定の理解を示しました。
そのうえで、角元氏は経済界としての増額分の負担について、「次から次へ、ということで簡単なことではない。ただ、国を挙げたイベントであり、かつ、関西でのイベントなので、なんでもかんでもダメということではなく、できる範囲で最大限の努力をする姿勢は変わらない」と述べ、さらなる負担もやむをえないという考えをにじませました。

【大商“人のせいにできず”】
大阪・関西万博の会場の建設費がこれまでより500億円多い、最大2350億円になる見通しとなり、経団連をはじめ経済4団体は1日、増額分の負担を受け入れる方針を明らかにしました。
これについて、4団体の1つ、大阪商工会議所の鳥井信吾 会頭は1日の記者会見で「新型コロナやウクライナ侵攻、さらにエネルギー価格の高騰や人手不足、前回のドバイ万博から準備期間が短いことなど、ここまで条件が厳しいのは考えられない。だが、人のせいにはできない状況だ」と述べ、増額はやむをえないという認識を示しました。
経済界は建設費の3分の1を負担していますが、増額分の負担を企業からの寄付でまかなうのは容易ではないとして、一部からは1970年の大阪万博の入場料収入などをもとに設立された基金の活用を検討すべきだという意見も出ています。
これについて、鳥井会頭は「経済界として増額分の負担の受け入れを表明したばかりで、議論ができている状況ではない。ただ、知恵を使って企業のできる範囲で最大限のことやっていく」と述べ、資金の捻出方法について経済界で議論を進める考えを示しました。